寛永通寳は、寛永13年(1636)の初鋳以後、明治2年(1869)に至るまで、 たび重なる年号の改元にも関わらず「寛永通寳」の銭名も変わらぬまま、240年 余りの永きにわたり鋳造・流通され続けた銭貨です。そして、明治新政府によっ てその価値を一厘と改められながらも、結局、昭和28年(1953)まで、現行通 貨としての地位を保っていたのです。
 寛永通寳の鋳造は、幕府が直接鋳造に関わる公鋳銭(官鋳銭)を基本とし、各 藩においても鋳銭許可を得て鋳造されましたが、さらに密鋳を含めると、その 銭所は日本全国に点在していました。そのため、時代・地域の別により、それぞ れ独特な個性を有しており、書風や製作の変化が楽しまれ、収集対象としてその 分類が試みられるようになったのです。天明年間には、藤原貞幹によって初めて の寛永通寳分類譜『寛永通寳銭譜』が編纂され、その後、幾多の研究家が細分類 を試み今日に至っています。しかし、残念ながら、寛永通寳にはいまなお不明な 点も多く、また、贋造銭も数多くあり、それらのことが収集家・研究者を悩ませ ているというのが現状なのです。  
  さて、このたび、当研究所が1990年以来継続してまいりました『新寛永通 寳図会』を元に、もっと気楽に寛永通寳を楽しんでもらえる形としてトレーディングカードを制作いたしました。
 このトレーディングカードは、アニメやゲームガード同様仲間で交換しあいな がらコンプリートを目指す物ですが、寛永通寳の雑銭を整理する感覚で楽しめる ように工夫されたカードで、全数完成すると前代未聞のカラー銭譜が完成するの です。特殊印刷で制作された『新寛永通寳歌留多』を皆様でお楽しみください。