あほまろとモモちゃんの今朝の浅草日記

平成17年11月27日 (日) 旧暦10月26日大安

- 小春日の週末 -

日記



 穏やかな朝が続きます。浅草寺境内の銀杏もすっかり色付いてしまい、そろそろ落葉も始まったようです。いつもお詣りをしている二尊仏裏のお地蔵さんの広場も、ちょっとずつ黄色く染まってきました。ここは12月に入ると、一面が真っ黄色の絨毯を敷き詰めたようになるのです。モモちゃんは黄色い絨毯の上を、落ち葉を蹴散らして歩くのがとっても好きなのです。今年も無邪気に戯れるのでしょうね。こちらの写真は、昨年の絨毯で遊ぶモモちゃんです。
 弁天山と呼ばれる小高い丘に芭蕉の句で有名な鐘楼があります。今でも毎朝6時になると当番のお坊さんが鐘を撞いているのです。これが江戸時代から明け六つの鐘として人々に時を知らせていたのです。
 以前、その弁天山のすぐ下に、まるで幽霊屋敷のような佇まいの居酒屋「暮れ六」ってのが有ったのをご存じですか。そのお店は、知らない人なら入るのをためらってしまうような、破れた行灯に傾いた玄関が特徴なのです。浅草では結構古くから営業しているので結構有名なお店でしたが、数ヶ月前からいつも道路に出しっぱなしの行灯が消えてしまったのです。そう、理由は分かりませんが、閉店してしまったのです。
 立地は好条件の場所です。引き続いてこの場所で営業するのは、言問通りの民謡酒場「追分」。ここを支店とする訳なのです。そのための改築工事が行われています。今まで所々瓦が剥がれ傾いていた玄関屋根や、柱も新しく取り替えられています。同時に内装工事も行われているようで、来月早々にも営業を始めるのでしょうね。
 民謡酒場「追分」は、あの有名な津軽三味線奏者「吉田兄弟」が働いていたお店です。あほまろも好きで、時々演奏を聴きにいくお店なのです。特に、冬の鍋の季節がお勧めですよ。支店でも津軽三味線の演奏を行って欲しいですね。期待してますよ。
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 今朝の一写』
 特に説明しなくてもお判りの通り、雲の多い青空です。影向堂の前から宝蔵門方面、まるでゴッホの絵のようなタッチの筆使いですね。ゴッホは時代が下るとともに筆触は長く伸び、うねり、表現主義的になっていったのも、このような自然を真似たのでしょうかね。しかし。、他の印象派の連中は太陽の照らす戸外を好んで描いていたのに対し、ゴッホは湯鬱で暗い夜の室内の絵にも、今朝のような雲をイメージしていたのかも・・・。
   
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 今朝の伝法院通り』
 ここに提灯を吊すと両側の木戸の門が完成します。朝はシャッターが閉じられているので、描かれた絵によって全体の雰囲気がとっても良いのですが、これが日中お店が開いてしまうと、ここが江戸街であることを知らずに通り過ぎる人も多いようです。それもそのはず、お店の前に並べられた商品に目がいってしまい、上を見上げる余裕なんて無いのでしょうね。木戸の両側にでも、ちょっとした説明版を掲げて案内しては如何かな。
   
 仲見世側も完成したのですが、シャッターはまだ手付かず。
   

   
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 浅草に直接関係の無いお話。ここは、あほまろの呟きですかね。
 今朝の余談』
 岡本綺堂の「半七捕物帳」
には、しょっちゅう浅草が登場してきます。第二話の「石灯籠」の中に、「半七はなにを考えたか、すぐに菊村の店を出て、現代(明治)の浅草公園第六区を更に不秩序に、更に幾倍も混雑させたような両国の広小路に向った」。そんな表現が登場します。綺堂が両国の広小路を説明する例として、浅草公園六区を取り上げ、更に“不秩序”という言葉を使う。この小説を書いた頃の両国広小路はすでに往時の賑わいは失せてしまった場所、浅草公園第六区を更に不秩序にしたって表現だけで、そこがどんな場所だったかを表現したかったのでしょう。それほど、浅草六区は“不秩序”に賑わっていた証なのです。
 また、おもしろいのには、同じ小説の中に、「河岸の百本杭に、女の髪がその昔の浅草海苔のように黒くからみついているのを発見した」、こんな表現にも浅草が使われているのです。これだって、ただ海苔、だけでも説明が付くのでしょうが、あえて浅草と付けることで、立派なとか、高級な等のイメージを持たせているのです。小説の中では、この髪の持ち主は小柳という女の軽業師、今回の事件の軸になっている方なのです。
 このように、何事の例えにも浅草を出してしまう岡本綺堂、他にも様々な箇所で繁華街としての浅草が例えられているのです。小説や写真を眺めているだけでも、当時(明治)の浅草が見えてくるようですね。今とは全く違った繁華街の浅草、二度と再び戻ってくることは無いのでしょうかね・・・。


今朝の写真
CANON EOS-KissDN,CANON ZOOM 10-22 F3.5-4.5
撮影枚数40