あほまろとモモちゃんの今朝の浅草日記

平成17年8月13日 (土) 旧暦7月9日先負

- お盆 -

日記
写真館に隅田川花火大会をアップしました。


 みなさんはお盆(盂蘭盆)休みを楽しんでおりますか。あほまろは先月お盆のお墓参りを済ませた。そもそもお盆とは、旧暦7月15日を中心に行なわれる祖先の霊を祀る一連の行事をいうのですが、なぜか日本全国、お盆は8月13日と決まってしまったかのようでもありますね。
 地方によっては、お盆の期間中には、故人の霊魂がこの世とあの世を行き来するための乗り物として、きゅうりやナスに4本のマッチ棒や割り箸などを足に見立てた馬や牛をお供えするところもありますね。きゅうりは足の速い馬に見立てられ、あの世から早く家に戻ってくるように、また、ナスは歩みの遅い牛に見立てられ、この世からあの世に帰るのが少しでも遅くなるように、との願いがそれぞれ込められているのだそうです。近所のスーパーでは、きゅうりやナスを使わなくても簡単にお供えできるように、ワラで作った馬や牛が売られていましたよ。
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 昨夜は、空襲で亡くなった人たちのめい福を祈る「流灯会(りゅうとうえ)が40年ぶりに再開されました。東京大空襲で亡くなった人たちのめい福を祈るために終戦の翌年に始まったのですが、昭和40年を最後に途絶えていたのです。
 浅草寺淡島堂に建立されている「浅草大平和塔」前で法要が執り行われた後、灯ろうを手にした行列が隅田公園まで練り、読経とともに流灯船や台船から約千個もの灯ろうが隅田川に流されたのでした。
 この様子を記録しておきたかったのですが、昨日は女房殿の誕生日だったのです。一緒に歌舞伎座の第二部を観劇し、浅草に帰ってきてお食事。毎年、誕生日はアサヒビールの本社最上階のイタメシ屋で、下界を眺めながらってのが我が家の定番になっているのですけど、子ども達はそれぞれの休暇を楽しんでいるようだし、たった二人だけの誕生パーティでしたよ。
 食事も終わり、コーヒーを飲みながら眼下の夜景を眺め、今、この瞬間にも大勢の故人の霊魂がこの夜空を行き来しているのかな・・・、また、千個もの灯ろうが隅田川に流される様子をこんな場所から見たら奇麗だったろうな・・・、そんな想いにふけっている最中、突然の雷雨です。
 さあ困った。傘を持って来なかったよ・・・。確か、ビルの下にコンビニが有ったはず、そこで傘を買って帰ろう。早々に支払いを済ませ出ようとしたとき、さっきまで給仕をしてくれていたウエイトレスのお嬢さんが傘を持って走ってきました。“あの、これ私からの誕生日プレゼントです”、ありがとう。とっても気の利いたプレゼントです。その時の我々にとって、ブルガリのネックレスよりも、エルメスのバックよりも、シャネルのお洋服よりも、更に更に嬉しい贈り物に思えてしまいました。優しいウエイトレスのお嬢さんのお名前は「出口」さん。どうりで玄関でプレゼントを渡してくれたのですね(笑)。
 とっても嬉しかったですよ。おかげで濡れずに帰れました。近いうちに、家族全員でまた伺いますからね。今度は何かお返しに、ブルガリのネックレスとか、エルメスのバックなんてのは無理ですけど、舟和の芋ようかんくらいは・・・。
  
  昨夜の法要が終わった後片付けが行われている、淡島堂の「浅草大平和塔」です。
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 前にも書きましたが、昨日は歌舞伎を観てきました。今月の歌舞伎座は「八月納涼歌舞伎」と銘打った特別興業です。普段は昼夜の二部構成ですが、この時期だけは短い演目をもっての三部構成です。我々が観たのは午後2時40分から始まる第二部、伊勢音頭恋寝刃(いせおんどこいのねたば)・けいせい倭荘子(けいせいやまとぞうし)蝶の道行(ちょうのみちゆき)・銘作左小刀(めいさくひだりこがたな)京人形(きょうにんぎょう)の演目でした。
 伊勢音頭・・、は何度も観ているので、今回の楽しみは「橋之助」「扇雀」「京人形」です。このお芝居は過去何度も上演されているのですが、あほまろは始めての演目です。
 お話はというと、名工左甚五郎(中村橋之助)が、吉原で見初めた花魁に惚れ込み、彼女とそっくりな人形を彫り上げてしまったのです。自分で造った人形の側で一人酒盛りを始めると、なんと、その人形(中村扇雀)が動き出したじゃありませんか。しかし、いくら名工と言われた左甚五郎であっても、人形の心を女にすることだけは出来ず、花魁の格好をした人形は甚五郎の態度をそっくり真似した男性そのものなのです。そこで、廓で花魁が落としていった鏡を、人形の胸に入れてみた瞬間、しなやかな女性に変身するのです。
 花魁の格好をした人形が、男性になったり女性になったり、長唄と常磐津の掛け合いで、コミカルな人形の動きがとっても楽しいお芝居でした。
 人形役の扇雀さん、女装した顔がお母さんの扇千景さんそっくりなのです。親子だから当たり前でしょうが、「廓文章」の吉田屋の夕霧や、「封印切」の梅川など花魁の格好をしていても今回のようにお母さんそっくりな顔、見たことなかったですよ。お父さんの鴈治郎さん似じゃなくて良かったね。成駒屋!
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 歌舞伎座の二階展示場には、毎回お芝居の演目に合わせたものが展示されています。今月は、第三部の「法界坊(ほうかいぼう)」にちなんで願人坊主の法界坊のお人形です。平成中村座などで勘三郎とタッグを組んで、新鮮な歌舞伎の形を呈示してきた演出家の串田和美さんが、満を持して、歌舞伎座に初登場。それを記念して自作されたのがこのなとも不気味な顔した人形なのです。材料は勘三郎さんの着古した衣装で作ったとか。とっても奇妙だったので、携帯で写してきました。
 時はお盆、お芝居の中の現世に恨みを残す野分姫と合体霊となって姿を現してくる願人坊主の法界坊の霊魂が、この世とあの世を行き来する時の姿にも見えませんか。


今朝の写真
CANON EOS-KissDN,CANON ZOOM 10-22 F3.5-4.5
撮影枚数50