あほまろとモモちゃんの今朝の浅草日記

平成17年5月26日(木) 旧暦4月19日仏滅
- 火消し -

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 けたたましいサイレンの音が鳴り響いています。またどこかで火事なのでしょ
うか、10階のベランダから消防車の走る方向を見渡しても煙が出ているところ
が無いようで、大事に至らないボヤのようで安心しました。
 そろそろジメジメした梅雨の季節がやってきます。カメラを取り出そうとドラ
イボックス扉に触れた途端、静電気のショックに見舞われてしまいました。梅雨
まではまだ空気が乾燥しているのでしょう、火の元には充分注意しましょう。
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 火消しと聞くと「男前」をイメージされる方も多いでしょう。江戸時代から、
纏を持つ男はその組の看板を張れる男と相場が決まっていたのです。看板といえ
ば「男前」に決まっているのです。半鐘が鳴ると男は火事、女は火消し見物、火
事場で火消しの船頭をしているかのようなヤジに交じって、黄色い声を上げるの
はおネーちゃんたち、火消しの男前を比べてきゃーきゃー楽しんでいたのだそう
です。
 昨日、そんな男前が一同に介して繰り広げられる纏の競演が行われました。毎
年5月25日に開催される恒例「消防殉職者慰霊祭」です。東京消防庁と江戸消
防記念会が主催するイベントで、東京中の纏88本が浅草寺裏広場に集合するの
です。およそ1500人の火消し装束を身にまとった「男前」が木遣りを唄いな
がら纏を振る姿は女でなくても、粋で、いなせで、まるでお芝居でも見ているか
のように興奮しますね。江戸時代、火に敢然と立ち向かう火消し達がみんなの憧
れの的だったってのが頷けます。
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 彼等のまとっている衣装は、火消半纏といって階級と地域によってその模様が
異なっているのです。まず、襟部分に書かれた文字は階級です。階級というのは
仕事の分担で、いちばん上が「組頭」、次が組頭を補佐する「副組頭」、さらに
「小頭」という序列で、その三階級の方々だけが肩に朱色の筋が入っているので
一目瞭然で判断できるのです。
 その次が「筒先(つつさき)」、今でいうと消防のホースを持つ係りってとこ
ろでしょう。ここまでの四階級の方々を「鳶頭(かしら)」と呼びます。そこか
ら一段さがった道具持ちには、「纏(まとい)」「梯(はしご)」「刺股(さし
また)」の三階級を「若い衆」と呼んでおります。
 背中の丸印も階級を表しています。朱色の筋が入った上層部の半纏には組の番
号が独特な文字で入れられ、それ以下の方々は階級を表す1文字が記されている
って訳なのです。

 明治期までは、更に下の「手鳶」といって鳶口を持つ者、「竜吐水(りゅうど
すい)」という手押しポンプの係り、さらに竜吐水に手桶で水を補給する係りな
どの小間使いも居ましたが、現在のように消防が完備され火消しの役割を終えた
ことによって消滅してしまったようです。
 昨日の様子は、あほまろ写真館に掲載しておりますので、階級による違いと、
特殊な文字をお楽しみください。

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 火消しの祭典が終わったばっかりの浅草寺裏広場から、消防車が出てきます。
今朝のボヤ騒ぎはこの付近だったのでしょうかね。普段見慣れない真っ赤な車に
モモちゃんも驚いてましたよ。ボヤ程度なら、江戸消防記念会の粋な連中でも、
充分消せるとは思いますが、現在の消防庁ではいくら火消し装束を着ていても、
火事現場には立ち入ることは出来ないのだそうです。彼等は火を消せない火消し
で、伝統を守っているだけなのです。
 “いかに激しい火事とても、消せない火などはない火消しでも、恋の炎は消せ
やしない”、そんな都々逸があります。現代風にいうと、“いかに組の頭でも、
火事場に入ることもなく、ましてや恋の炎など、燃えるにまかせ夜の火消し哉”

今朝の写真
CANON EOS-KissDN,CANON ZOOM 17-85 F4-5.6 IS
撮影枚数25枚

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