平成17年2月28日 旧暦1月20日友引

- 一足早い雛まつり -


____________________________________
 寒い寒いと言ってるうちに2月も今日で終わってしまうんですね。明日からい
よいよ桜三月、気まぐれな春がやってくるのですよ。春って声を聞くとなんとな
く世の中がパーッと明るくなったように感じますね。でも、春になったからとい
って昼間の明るさが増す訳じゃないのですが、あの桜の花を思い浮かべるだけで
気分的に明るくなったように感じてしまうのでしょう。桜は日本人なら誰しも心
を揺さぶられる花であり、新年度を迎えるに相応しい心憎いほどの演出でもある
ようです。
------○------
 浅草の絵葉書を整理していると、明治期から関東大震災頃までは浅草寺境内に
は桜が群れていたようです。特に、仲見世から本堂にかけての沿道や奥山一帯が
ピンク色に覆われている写真を多く見かけるのです。でも、当時の東京の資料を
探してみても、隅田公園だけで浅草寺周辺が桜の名所だったなんて何処にも書い
ていないのです。浅草に古くから住む古老の話では隅田公園以外といえば、瓢箪
池の周りには有ったかな・・・、そんな程度なのです。
 じゃ、いったいこれらの絵葉書はいったいどうなっているんでしょうかね。そ
う思ってよくよく調べてみると、どうも木の格好や枝振りが桜じゃ無いようにも
見えてくるのです。スキャナーで拡大して木々を一本ずつ調べてみると、なんと
それらは総て銀杏の木なのです。それもすでに葉を付けているのです。
 当時はカラー写真など存在しなく、すべて白黒写真に手で彩色を施したものな
のです。銀杏でもピンク色に彩色すれば桜に見えてしまうんですね。やたら桜が
満開の絵葉書が多いってこと、今頃になったようやく気付いたのですよ。それも
銀杏が葉を付けているのできっと夏から秋にかけての写真なのでしょう。すっか
り騙されてましたよ。
 現在、浅草寺境内の桜は伝法院のお庭と浅草神社境内、それに本堂裏の一部だ
けなので、群生しているという雰囲気は無いのですが、春になると“桜まつり”
と称した縁日が出来、造花の花が桜茶屋の周りを囲むのであたかも桜満開の雰囲
気を醸し出しているのです。これもいわばトリックの一種ですね。明治期の絵葉
書となんら変わることが無いようにも思いませんか。この様子だって写真に撮る
と立派な桜なのですからね。
------○------
 昨日は、隅田川の春の訪れを告げる「江戸流しびな」が隅田公園で行われまし
た。台東区内の幼稚園児を始め、事前に予約していた一般参加者など、主催者の
発表では約二千人の親子が参加したそうです。
 参加されたみなさんが紙で作られたお雛さまに、願い事を沿えて川に流すので
すが、用意されたスロープがうまく作動しないのか、紙が軽すぎるのか、可愛そ
うにほとんどのお雛さまが風で飛ばされてましたよ。
 また、石浜幼稚園の園児たちは特別仕立の屋形船からも流したのでした。朝は
氷が張るほどの寒い日だったのですが、流しびなを始める正午頃には気温も上が
り、爽やかな春の陽気。子ども達が無病息災の願いを込めて流した約二千三百体
の雛人形。太陽の光を浴びて川面に輝く雛人形。平和な日本が続きますように、
そんな気持ちで眺めておりましたよ。
------○------
 久しぶりに、浅草神社の裏の被官稲荷(ひかんいなり)にも寄ってみると、3
月18日11時から例大祭が開催されるとのお知らせが貼ってありました。例大
祭といっても御神輿が出る訳じゃなく祝詞だけで終わるのでしょうが、浅草に住
んでいても全く意識していなかったこんなところにも行事があったんですね。1
8日といえば観音縁日でもあります。きっとここも観音伝説に関係有るお稲荷さ
んなのでしょうね。
 被官稲荷も昔の絵葉書にも写っています。それも満開の桜を背景にね。


今朝の写真
SONY DSC-F828
撮影枚数27枚
昨日の流しびな
CANON EOS-1 DsMK2
撮影枚数288枚
____________________________________