平成17年2月26日 旧暦1月18日赤口

- 変化の記録 -

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 雪の朝から一変して春晴れの良いお天気になりました。気温はさほど高くは無
いのですが、澄み切った青空の下を歩いていると気分はすっかり春の陽気です。
浅草寺周辺に住む猫たちもあちこちで日向ぼっこ。モモちゃんの歩きもいつもよ
りとってもゆっくりしているんですよ。今朝の散歩はのんびりと観音裏まで足を
伸ばしてきました。
 最近は浅草でのロケが多くなりましたよ。今朝も浅草寺本堂でビデオ撮影をし
ている脇をドラマのスタッフが大量の機材を運んですれ違っていきました。本堂
裏手にある骨董屋さんで撮影が行われるようです。早朝から美術スタッフが大勢
で看板の貼り替えや店の飾り付けなどで忙しそうでしたよ。
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 浅草の毎日の変化を記録していると、テレビに写る浅草の風景、影や周りの雰
囲気でその映像がいつ撮影されたのかが判るんです。浅草を中心に絵葉書の収集
研究を行っている影響で、ついつい影の角度や長さなどから撮られた季節や時間
を判断できるようになったんです。ただ、難しいのがそれが撮られた年代を推定
するのだけはある程度の感で補っているのですけどね。
 あほまろの知り合いの東京大学都市工学の助手たちが「東京の定点観測研究会
」を立ち上げ、変わりゆく東京の市街地に、100カ所程度、インターネットを
活用したカメラを設置し、30年間にわたって定点観測し、景観形成やまちづく
りに役立つ、映像のデータベースを作成しようと頑張っています。来月はそのワ
ークショップも開催されることになりました。
 全国で、古い町並みを保存しようとの動きは多いのです。時々訪れる人には、
古い町並みにある家やお店などの今とは違うくらしの工夫なんてのを求めている
のでしょうけど、そこで生活をしている人達にとっては、それが有る意味の苦痛
を伴うことも問題視されております。古い町に暮らす人は古いままじゃ無いので
す。そこを訪れる人と同じく近代的な豊かさを求めているのですが、やれ、クー
ラーの室外機がみっともないとか、プラスチックの看板や自動販売機が邪魔だと
か住民とのトラブルも多いようです。
 時代村とは違い、時代の変化と共に生きている町並みの変化だって充分その街
の特徴を兼ね備えながら進化しているのです。また、消防法や区の条例によって
、どうしても昔のままではいられなくなってしまった古い建物もあります。ヨー
ロッパのような石や煉瓦造りの家屋なら、外観を変えずに中だけをリニューアル
するって方法もあるのですが、日本の木造建ではそのような芸当が出来る訳があ
りません。
 気付いてみたら変わっていた。それが何時だったのか記憶に無い等々、日常の
生活の中で変化していく町並みを、インターネットの定点カメラを利用して毎日
写真で記録していく。それを30年間続けるという壮大な構想なのです。
 このプロジェクトの趣旨は、「常に変化する日本の都市の中で、日本人の“都
市空間感覚”は弱くなる一方です。都市の将来の姿を議論しないまま、たくさん
の開発が横行しています。その一方で、私たちも、時には反対運動などを起こし
ますが、結果として出来上がった都市に慣れてしまい、そのことがさらなる“都
市空間感覚”の弱体化につながる、という悪循環が生まれています」。まちづく
りの最良の判断を下せるような、画像アーカイブを作ることを目指すこの計画に
あほまろも賛同しているのです。
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 あほまろが6年間続けているモモちゃんとの朝の日記。始めた当初から雷門を
中心に浅草寺周辺の町並みを写真に撮って保存しております。わずか6年ではあ
りますが、何の変哲もないように見える雷門前だってびっくりするほどの変化を
見せてくれるのです。
 6年前には無かった地下駐車場が出来たり、雷門の大提灯が二度も取り替えら
れている等々、今は何の意味も持たないこれらの写真ですが、50年後100年
後の浅草の町並み研究家にとっては絶対に貴重な資料になってくれるはずです。
これからも毎日記録し続けていきますよ。
 都市景観のうつりかわりが完成する30年間には絶対に生きていないのですけ
どね・・・。

今朝の写真
SONY DSC-F828
撮影枚数33枚
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