平成17年2月21日 旧暦1月13日先勝

- 喉元過ぎても -

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 日本語には、梅の開花によって春を知る「梅暦(うめごよみ)」なんて風流な
言葉があります。梅が春の訪れを知らせる花、かつては音読みして「ばいれき」
とも読まれた古い言葉なのです。
 突然そんな言葉を言われてもピンとこないですよね。でも、モモちゃんの犬仲
間には、そんな風流な言葉を好んで使うおばさまがいらっしゃるのです。
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 今年は東京大空襲からちょうど60周年になります。様々な団体がこの日を記
念しての行事を考えているようですが、ここ浅草では両親など家族6人を大空襲
で亡くした同区在住のエッセイスト、海老名香葉子さんが講演する「平和のつど
い」が浅草公会堂で3月10日に開催されます。
 海老名さんといえば、あの有名な故林家三平師匠の奥さんで、林家こぶ平さん
やいっ平さんのお母さんです。海老名さんの体験を元に現在制作中のアニメ映画
、「あした元気にな〜れ!−−半分のさつまいも」の紹介を兼ねて、谷村新司さ
んが作詞作曲した主題歌「蓮花(れんか)」を歌手の林明日香さんが披露してく
れるようです。
 この映画は、戦後の浅草が舞台になった映画です。浅草寺の瓢箪池のまわりに
立ち並ぶ闇市の一角に小さな店を出して、同じ境遇の戦災孤児仲間との商売で生
活の糧を得る少女を描くこのアニメ映画は戦争の悲惨さを後世に伝え残してくれ
ることでしょう。
 あほまろは、この映画に戦後のまだ雷門も無い浅草寺周辺の時代考証の参考資
料などを提供しております。特に、進駐軍が大勢訪れるため、英語表記で造られ
た雷門に当時の世相が表れているのです。
 あれから60年も経ったというのに、浅草寺境内の大銀杏の幹にはあの時の焼
け焦げが生々しく残っています。ちょっと触れただけでも指に黒い炭が残るので
す。この大木も、焦土と化した下町の人々と共に頑張ってきたのでしょうね。平
和で豊かになり過ぎた今の社会、指に残った黒い炭を見ていると、平和がいかに
大切であるかを再認識させられます。
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 あと一月でお彼岸がやってきますね。「暑さ寒さも彼岸まで」というように、
季節の変わり目にあたり昔から農耕の区切りとされる時期でもあります。ここ浅
草では、ちょうどお彼岸が浅草寺観音縁日の示現会なのです。浅草寺本堂脇の柱
には、この日を記念して「特別紅札」を授かることができる特別祈祷の宣伝が出
されています。「御本尊示現会特別大祈祷執行」ですが、60年前の大惨事を供
養するような御祈祷は特に考えていないようです。
 海老名さんは「ここで伝えておかなくてはいけないと思いました。一人でも多
くの子どもたちに、東京大空襲のことを伝えたい」と話していますが、あの惨状
を知る人もどんどん居なくなってしまったように、60年の歳月が人々の記憶を
消し去っていくのでしょうね。
 「暑さ寒さも彼岸まで」「喉元すぎれば暑さ忘れる」

今朝の写真
SONY DSC-F828
撮影枚数18枚
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