平成17年2月7日 旧暦12月29日仏滅

- 「牛の涎」 -

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 紅梅が咲いた淡島堂の境内には明日の「針供養」の奉納提灯が吊されました。
それとは反対に、浅草神社では、先日行われた「節分会」の奉納提灯が取り外さ
れています。行事のたびに吊したり外したり。なんとなくもったいないような気
もするのですがこれも浅草の経済の活性化の一つになっているのでしょうね。
 一個づつ外されて下に投げられている提灯、手にとってじっくりと見てみると
、結構いい加減な造りなのに驚かされます。風雨に晒されたとしても一週間保て
ば良いのですから、この程度で充分なんでしょうね。
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 昨日、中越地震で被災した山古志村の村長さんが、闘牛3頭を引き連れて「テ
プコ浅草館」で開催中の被災地支援の新潟物産展会場にやってきました。今回上
京したのは、現在避難先の新発田市からトラックで輸送された「貴虎」「しのぶ
」「二代目豆五郎」。
 大勢のマスコミ陣の前で、山古志村の長島忠美村長は「今は牛も元気。村民も
負けてはいません。今日は浅草の方々よりいただいた暖かい支援のお礼と、村民
も牛たちも復興に向けて頑張っていることを知らせるためやって来ました。そし
て今年の5月に、例年通りに山古志闘牛が行えるよう努力していきます。」と、
力強く挨拶をしたのです。
 この「牛の角突き」は、昭和53年に国の重要無形民俗文化財に指定され、現
在は同村と小千谷市で毎年5月から11月にかけて行われています。今年の5月
にも、山古志復活のシンボルとして実現させてあげたいですね。
 闘牛3頭なんて聞くと、力強くて勇敢で恐いイメージの牛を創造するでしょう
けど、近くで見るととっても愛嬌があって可愛い動物なんです。近所の子供たち
も牛にまたがって喜んでいました。でも、自分から望んでわざわいを求めるたと
えを「牛は願いから鼻を通す」といいますが、牛達の鼻に着けられた輪は窮屈そ
うで見ていてもちょっと可愛そう。なぜ、そんなことわざが出来たのでしょうか
ね。物の色が非常に黒い様子を「牛驚くばかり」とか、まったくの暗闇を「牛掴
むばかりの暗がり」なんて言葉もありますね。牛が黒いからこんな言葉も生まれ
たのでしょうか。でも、山古志村の牛たちは綺麗な茶色でしたよ。
 なんとなくローカルなイメージのこのイベントですが、見物に来た近所の方々
の数を大きく上回る数のマスコミ陣にも驚きました。東京のテレビ新聞はもちろ
ん、海外のメディアも来てました。「牛の涎」にならないうちに、我々は早々に
引き上げましょう。
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 あほまろが取材を終えて帰ってくると、友人の町田忍氏が訪ねてきました。そ
う、彼の名前も牛じゃないのに「しのぶ」でしたね。山古志村の闘牛の話をする
と同名のよしみと再び会場に急いだのですが、時すでに遅し。牛たちはトラック
に積み込まれてしまった後でした。残念・・・。
 牛のようにのろい歩き方とか、物事が遅々として進まないさまを牛歩と言いま
すが、こんな時だけは牛歩でいてくれなかったようです。
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 シューベルトの「未完成交響曲」は未完成のままでも充分有名ですが、ロシア
の作曲家チャイコフスキーが晩年手掛け、未完のままで終わった幻の交響曲「人
生」の第一楽章だけは、その後、ピアノ協奏曲第三番として発表されましたが、
これら残された譜面を手掛かりに、チャイコフスキー財団が数年前からロシアの
作曲家や音楽研究家グループなどに補作を依頼。チャイコフスキー独特の旋律の
パターンや作曲法などを徹底的に考慮してようやく完成されたようです。
 交響曲「人生」は、秋にモスクワ郊外の町クリンの「チャイコフスキーの家博
物館」で発表される予定だそうです。ロシア交響楽団の演奏で、指揮者はロシア
を拠点に活躍する日本人女性指揮者、西本智実さんが行うのだとか。
 チャイコフスキーはドイツ系ロマン派,フランス系ロマン派,そしてロシアの
音楽からそれぞれ影響を受け、特にブラームスの時代まで相容れなかったドイツ
とフランスのロマン派を合体させた作風の斬新さが新しい交響曲の姿を世に示し
た作曲家でもあるのです。
 今回の未完成が完成したその大切な発表会で、日本人の女性指揮者が指揮をと
るなんてのも、チャイコフスキーの独特な旋律と同様な斬新さを表しているのか
も知れませんね。どんな交響曲になったのかとっても楽しみです。
 天国のチャイコフスキーさん、「牛は嘶き馬は吼え(うしはいななきうまはほ
え)」なんてことにはならないように期待してますよ。

今朝の写真
SONY DSC-F828
撮影枚数29枚
昨日の写真
CANON EOS-1 DsMK2
撮影枚数117枚
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