平成17年1月29日 旧暦12月20日先勝

- 立身出世 -

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 寒いんだか暖かいんだか訳の解らない朝の挨拶は、“寒いですね”、“今朝は
暖かいですね”、“いや〜毎日寒いですね”等々、出逢う人との挨拶もまちまち
なんです。あほまろはそれに答えて寒い人には寒い、暖かい人には暖かいと話を
合わせているのですが、今朝は水溜まりが凍るほどではないにしても、とっても
寒い朝なんです。
 浅草寺境内では今朝からまた屋台が出店します。早朝から屋台の準備をしてい
る人達だけが暖かい挨拶なんです。この連中とも毎朝顔を見合わせているうちに
どちらからともなく挨拶を交わすようになってしまったんですよ。これもモモち
ゃんと一緒だからなのでしょうね。特別知り合いたいとは思わないのですが。
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 浅草神社の絵馬の懸架版で一際目立っている絵馬を見付けました。祈願した人
の名誉のため名前を消して掲載しましたが、ご覧のようにただ「出世」だけなの
です。
 ところで出世とは、「世の中に出て立派な地位・身分となるこ」を願っている
のでしょうけど、本来の意味は「世俗を棄てて仏道に入ること」を指す仏教用語
なのです。仏教の禅宗では、仏道に入り寺院の住持となることが最高の出世、そ
して高位の寺に転住し、黄衣・紫衣を賜ることが僧として最大の名誉です。これ
が「出世」。
 いつのころから「出世」が今のような意味になったのかは判りませんが、江戸
初期に出版された豊臣秀吉の一代記「太閤記」の中に、「立身出世」との言葉が
使われているので、あるいはこれが「出世」を一般人にも適用した最初の例では
ないでしょうか。その後、近松門左衛門作の浄瑠璃「出世景清」などの相次ぎ出
版され、世間では「出世作」としてのジャンルを位置づけたのでした。
 「出世」するのは人間ならともかく、最近では成長するに従って名前を変える
魚にもこの文字を充てることがあります。同じ魚が例えばワカナゴ → イナダ →
ワラサ → ブリと変化していくのを「出世魚」なんてのもいますよ。
 サラリーマン社会では、平→主任→係長→課長→部長→役員、更には常務→専
務→社長これも何か魚と同じようですが、それによって給料も変わってくるので
、人生において一番重要なことなのでしょう。
 テレビのニュースでお馴染みの、NHKの海老沢勝二前会長の出世劇も茶番劇
でしたね。橋本元一新会長に自分の地位を保つようにとの命令で、一時は特別職
を確保したのですが、世論の波紋であえなく沈没。「出世」イコール「給料」の
世の中、相次ぐ視聴者からの抗議電話や「世論の感覚とあまりにずれている」と
いった批判をうけるのは最初から判っていたはずなのですけどね。
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 話題の無い朝に話題を与えてくれた一枚の絵馬、これを書いた人はきっとサラ
リーマンなのでしょう。彼はいったいどんな「出世」を夢にこの絵馬を書いたの
でしょう。これだけ力強く「出世」願っているんですから、きっと仲間のうちで
出世頭になることでしょう。おかげで、今朝のあほまろは彼の人生を創造しなが
ら楽しく散歩をすることができました。
 まさか、この絵馬を奉納する時にお賽銭はケチらなかったでしょうね。出世払
いとかいって・・・。

今朝の写真
SONY DSC-F828
撮影枚数25枚
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