平成17年(2005)1月16日 日曜日
旧暦12月7日赤口

- 未来の紳士 -

 嫌な雨が続きますね。昨夜はまるで台風のように風雨が荒れ狂っていました。
時折強く振り付ける雨の中、いつもの浅草寺境内には犬の散歩をする人なんて全
く見かけないんです。みんなどうしちゃったのかな。こんな日は、自宅の近所で
用を済ませてしまったのかも知れませんね。でも、モモちゃんは頑張りました。
用を済ませても、いつものコースをどんどん引っ張って楽しそうでもあるのです
よ。それもそのはず、「雨が降れば猫の目も潤む」そんな言葉もあるように、雨
が降る日はいつもよりも暖かいのですから。
 二日間降り続けた雨で、浅草神社の境内がまるで池のようになっています。も
ともとここは水はけが悪く、ちょっとの雨でもぬかるみになってしまう場所なの
ですが、写真でもお判りの通り今朝は強大な池が出没したかのような状態なので
す。毎日見慣れた場所なのですが、水が与えてくれた素晴らしい光景、まるで安
芸宮島の厳島神社を彷彿してしまいました。こんなんだったら、雨もまた楽し。
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 「藪入り」、今では死語になってしまいましたが、今日はその「藪入り」の日
なのです。昔、奉公人が正月が開けた今日16日と、お盆の16日は、奉公先か
ら一日だけの休暇をもらって親もとなどに帰ることをいうのです。親もとが遠い
連中は浅草あたりでお芝居を観たり、美味しいものを食べたりともんびり過ごす
日だったのです。
 今のように週休二日が当たり前のなるちょっと前の昭和30年代まで、この「
藪入り」の風習が残っていたそうです。この起源としては、藪深い里へ帰ること
からとから、その名が付いたのですが、別名に「宿下がり」ともいわれ、諸説が
あるようです。
 年に二度の休みだけで過酷な労働に耐えてきた若者達によって、現在の日本経
済が支えられてきたのでしょうね。今の日本の不景気、もしかしたら「藪入り」
の習慣が無くなってしまった弊害なのかも・・・。
 あほまろが集めている絵葉書の中に、奉公人姿の男の子が数人で浅草公園の屋
台でおでんを食べているのがあります。絵葉書に書かれた題名は「未来の紳士」
(楽しい一日)とあります。衣装などから明治末期の正月の藪入りの様子なので
す。とっても楽しそうにおでんの味と共に自由を味わっているかのようにも見え
る絵葉書、奉公人を「未来の紳士」と表現しているのに興味がありますね。
 
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 浅草寺の境内に、一台の屋台が雨に濡れて佇んでいます(写真)。現在ではリ
アカーの上に乗せられていますが、造りは明治期の写真とまったく変わっていな
いのです。こんな屋台、今でも夜になると街のあちこちで見られるますが、その
数がどんどん減っているそうです。なぜかというと、このような営業方法は食品
衛生上許可にならなく、いわゆるもぐり営業。厚生労働省では、許可の無い食品
販売を厳しく取り締まる方針を打ち出しているのだとか。
 法によって、またひとつの文化が絶滅されてしまうんですね。食品衛生法で許
可に成るために絶対にクリアしなければいけない条件は、食器を洗ったりする水
周りなのだそうです。
 「未来の紳士」たちも、「藪入り」の日にはこんな屋台でおでんを食べながら
、日本の将来を夢見ていたのでしょうね。そんな文化も抹殺してしまう今の世の
中、草場の影で「未来の紳士」達も嘆いているでしょうね。
 今風の屋台は、トラックの荷台を改造して毎日うるさくやって来るホットドッ
ク屋さん。でも、あの車には、ちゃんと政府の許可証が貼ってありましたよ。

今朝の写真
SONY DSC-F828
撮影枚数25