平成16年(2004)9月14日 火曜日

- 「野分」 -

 “残暑だっていうのに、何でそんなお洋服を着せているの”、雷門前で観光客
からそんなことを言われてしまいました。そんな言葉にいちいち応えるのは疲れ
てしまいました。“あんたには関係ないでしょ”とは言いませんが、傍目には気
になるのでしょうね。虐待のようにとられているのかな・・・。
 モモちゃんだって、好きでこんなの着ている訳じゃないのです。まして、10
日も同じものを着ていると汚れも目立ち、臭いもあるのです。あと2日、誰に何
といわれようが我慢しましょうね。
 毎朝、観音様に一礼して小学校に通う子ども達もモモちゃんの格好を見付けて
寄ってきました。“怪我したの・・・”、そう病気になってしまったんだよ。子
供達の方がよっぽどお利口さんですね。
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 残暑ですって・・・。今更そんな形容はおかしいのですが、このところの暑さ
をテレビでは残暑が続いているっていってますよ。暦をみると旧暦の8月1日で
すね。八月朔日頃に天候が荒れることが多いとされ、二百十日、二百二十日と併
せて三大悪日とも呼ばれている日なのです。
 本来ならこれからが台風のシーズン到来なのですが、今年はすでに7個の台風
が上陸しており、これからいったい何個の台風がやってくるのでしょう。また、
この時期は「風の盆」とか、「風祭り」なんて古い風習があるのを知っています
か。農作物を風害から守るために神に祈るお祭りで、二百十日前後に行われる地
方も残っているようです。
 二百十日から二百二十日頃に吹く秋の強風を野分と呼びます。「野分」とは、
野の草を分けて吹きすさぶ風ということから名付けられたもの。二百十日、二百
二十日前後に吹く暴風台風を含む秋の頃の強風の一般的な呼び名です。
 俳句の季語にもなっていますが、現在では「秋から初冬にかけて吹く強い風」
とされ、本来の意味合いとはちょっと変わってしまったようですね。NHKの「
俳句王国」でも、この時期は兼題になるこの「野分」、みなさんの投稿を見てい
ると、なんとなく「秋」の別異のようになってしまったようですね。
 『吹き飛ばす石は浅間の野分かな(芭蕉)』、これが本来の「野分」のように
思えるのですけど・・・。
 「野分」の時期になると、あほまろは少年の頃に読んだ夏目漱石の小説を思い
出します。『いたずらに、吹くは野分の・・・女はうたいおわる。銀椀に珠を盛
りて、白魚の指に揺かしたらば、こんな声がでようと、男は聴きとれていた』
 子供心に胸をときめかせながら読みふけった小説。あほまろが思い描いたヴィ
ーナスの容姿に「野分」を感じているようです。
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 ん〜!、秋になるとなんとなく文学少年に戻ってしまった〜。そういえば、最
近読む本といえば、歴史書とかくだらない蘊蓄が書かれた、頭を使わないで読め
るものばっかりになってしまいました。
 あほまろの秘密基地には、のんびりと横になって読書ができるようにと、外国
製の高級リクライニングシートまで備えているのですが、読書用というより、も
っぱら昼寝用になってしまいました。その代わり、電車や車で移動中に読書を楽
しむようになってしまったのです。それはひとえに電子ブックのおかげなのです
。あほまろは電子ブックの専用の端末では無く、インターネットやメールも出来
る汎用のザウルスで楽しんでいます。
 「鬼平犯科帳」「半七捕物帳」の全巻を始め、数百冊の本をいつも持ち歩いて
いるのです。夏目漱石全集だって入っているんですよ。慣れてしまうと重たい本
を読むのがとっても辛く感じてしまうようになってしまいました。ですから、の
んびりと横になっての読書スタイルが変わってしまったのです。先日なんて、真
剣に読みたい小説をダウンロードし、山の手線を一回りして帰ってきたのですか
ら。
 もっと時代が進と、散歩中にも読書が出来る道具なんてのが開発されるのでし
ょうかね・・・。

今朝の写真
SONY DSC-F828
撮影枚数31枚