平成16年(2004)8月7日 土曜日

- 「槐」 -

 今、東北は夏祭りの真っ最中です。青森のねぶた、弘前のねぷた、秋田の竿灯
、山形の花笠踊、岩手のさんさそして仙台の七夕飾等々どれも有名なお祭りです
。それらの様子は連日テレビのニュースを賑わしております。
 あほまろは上野の夏祭りで既にそれらの一部を楽しんでしまったのですが、本
場で見る迫力には到底叶うものじゃありません。もう一度本場のお祭りを見てみ
たいと思うのですが、一人で行く訳にはいかないし、女房が怒るだろうし、家に
は犬が4匹も居るし・・・。
 今日は月遅れの七夕祭りですね。七夕飾りで賑わう仙台の繁華街からテレビの
中継が行われております。でも、この解説でちょっと間違いがありますよ。アナ
ウンサーは、“仙台では毎年旧暦で七夕祭りを祝う習慣が有り、今日がその本番
・・・”、ってなことをあたかも真実のように言ってますが、旧暦の7月7日と
いうと今年は8月22日なのですよ。これをどのように表現したら良いのか考え
つきませんが、今日が旧暦の七夕の日で有るような表現だけは止めて欲しいです
ね。
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 浅草神社境内の御神木をご存じですか。「槐(えんじゅ)」というマメ科の落
葉高木です。この御神木は夏になると黄白色の蝶形花を付け、木全体が真っ白な
雪にでも覆われたようになるのです。また、地面に落ちた花も一面を白い絨毯を
敷きつめたようになるのですよ。
 古来中国では宮廷の庭に三本の槐を植え三公のつく位置を示したといわれる通
り、高貴の木として珍重されていたそうです。古い写真によると、かつてはこの
境内にも三本の槐が有ったのが判ります。
 ここ浅草神社はご存じの通り、観音様にまつわる三人が浅草観音権現の功労者
として、三社権現の尊称を承られ、神として祭祀されたことを記念してこの三公
槐の木を境内に植えたのでしょう。
 浅草神社の由来では、境内の槐の木は枯れては生え、枯れては生え、連綿とし
て絶える事がない不思議な木として大切にされております。他にこの辺で見かけ
ない木ですが、東京の郊外ではプラタナス・イチョウに次いで多く街路樹に使わ
れている樹で、材料としては建築や器具用に珍重されてもいるようです。
 また、この花の黄色色素は、ルチンという物質が採れ高血圧の薬にもなるのだ
とか。また古来からこれを乾燥した止血薬も有名ですね。それに、果実は痔薬・
黄藤・槐樹等々、もう捨てるところが無いほど人間に優しい木でもあるのです。
 エンジュに関する歴史的な記録や説話を古い書物に多く見られます。たとえば
、醍醐帝が雷をひどく嫌われたので、空海が槐を加茂川東岸に植え、雷は皆その
方に落ちるようになったとも有りますよ。
 「うち茂り槐は水の面覆ひたり日光さびしき夏となりつつ」(宮柊二)
 「 ゑにすの木花はこぼれて梅雨あけの夕雲遠くあからみにけり」(松村英一)
 「 寿を守る槐の木あり花咲きぬ」(虚子)
 そう、この槐は、仏壇店によっては「延寿」と書いているところもあります。
「槐」は「おに」という字が使われているため、縁起のよい文字を充てたのでし
ょうね。実は黒檀、紫檀についで仏壇用には高級な素材なのだそうです。
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 さて、今日はいよいよ日本と中国の適地対決となるサッカー・アジアカップの
決勝戦です。北京のスタジアムは約6万2000人を収容できるのですが、その
うち5000枚のチケットが警備用に確保されたそうです。また、両国の応援席
を分離する方針で、制服姿の武装警察官を両国の観客の間に配置したり、日本人
観客を囲んだりするのでしょうかね。
 「我々は日本を見ている、世界は我々を見ている」 (中国青年報)
 「偉大な民族はおおらかで、礼儀正しくあるべきだ」(人民日報)
 さて、試合の行方よりも、偉大な民族の動向の方が気になりませんか?

今朝の写真
SONY DSC-F828
撮影枚数19枚