2003年12月4日 木曜日


今朝の写真
CANON EOS-1 Ds
撮影枚数214枚

文化の保存

 伊勢の歴史は江戸よりもずっと長く、
室町時代にはすでに街としての機能が形
成されていたのです。街を歩いていても
、そんな面影を偲ばせてくれる建物が残
っているのです。土地の人にいわせれば
、戦争でかなり破壊されてしまったので
すが、未だに明治の建物なんてのは当た
り前、せめて江戸時代の建物だけは後世
に伝えていきたいと、熱心な市民が保存
団体のNPOを設立し、行政と一体にな
って町並みの保存に取り組んでいるので
す。
 今回の旅で、NPOが管理する保存町
並みや建造物を堪能いたしました。神宮
周辺でおなじみの「おかげ横町」などは
、お土産屋さんという販売を目的とした
連帯が充実した町並みを保って人気のス
ポットとなっているのですが、神宮から
離れた、いわゆる資料館的な場所には訪
れる人も少なくその運営は決して楽では
ないようです。
 今回、江戸時代から食料品などを扱う
水運で栄え、“伊勢の台所”とも呼ばれ
ていた、勢田川沿いに妻切造りの多い商
家や蔵が現在も並んでいる箇所に、「伊
勢河崎商人館」が公開されておりました
。ここは、江戸時代から酒問屋を営んで
いた酒問屋を市の協力を得て買い取り、
伊勢河崎の歴史と文化を紹介する資料館
として復元されております。
 また、夫婦岩で有名な二見浦でも、歴
代皇室が利用したことで有名な旅館も、
NPOの管理で公開されるようになりま
した。一般公開からまだ2週間しか経っ
ていないそうですが、江戸末期から明治
にかけ、贅沢に造られた建物の中の三百
畳もある大広間には、今では伐採禁止に
なった屋久杉もふんだんに使われており
、当時の隆盛を彷彿させておりました。
 どこの街でも、文化財の保護はお金も
かかり、頭の痛い問題でしょうが、この
ようにNPOの管理運営という道が残っ
ていたのだってことを痛切に感じさせら
れたのでした。
 今朝の朝刊で、今年のヒット商品が発
表され、西の横綱に「昭和」が入ってい
ます。若者が子供時代を過ごした昭和時
代はすでに歴史となり、全国に様々な資
料館も展開されております。まだ温もり
の残る昭和を保存するのも良いのでしょ
うが、冷え切ってしまいそうな江戸や明
治にも、もっと目を向けていきたい、そ
んなことを考えさせられた今回の旅行で
した。
 今日は、松坂市に移動して、本居宣長
と小津安二郎記念館を観て、モモちゃん
の待つ我が家に帰宅します。
  “旅の楽しみは、帰る家が有るから”