2003年6月16日 月曜日

今朝の写真
SONY DSC-F707
撮影枚数38枚

麦とろ

 梅雨の中休み。このところ、じめじめ
と降ったり止んだりしている雨ですが、
今朝はまだ降っていないようです。早め
に散歩をすませなきゃ、モモちゃんを連
れて外に出た瞬間、ムーッとする湿った
熱気、体中に汗が滲むんですよ。そんな
嫌な朝なんです。
 浅草寺に奉納された献花は、毎週月曜
日の朝に新しい花と交換されます。この
日は、近所の人達が下げられた献花を貰
いにやってきます。最初に来た人達は、
色とりどりの花を抱えきれないほど束ね
て帰っていきますが、出遅れた人達は、
数本の菊を分け合ってるのです。おまけ
に、お寺の清掃員が出てきて、綺麗に片
付けて帰ってくださいね、なんて怒鳴っ
ているのです。
 大漁を喜んで帰った最初の人達の散ら
かした跡、残った数本の花に手を出した
がため、掃除までさせられてしまう。そ
の一部始終を見ていたあほまろ。毎週繰
り返される出来事、ちょっとは気を使っ
て欲しい・・・、そんな事感じました。
 可憐な白い菊一輪を大事に抱えながら
掃除をしているお婆さんの姿。どんな場
合でも、強い者が儲かる世の中の縮図を
目の当たりにしたのです。でも、ここは
御利益を授ける観音様の御堂内なんです
よね。
 近所のむぎとろ屋さんの店頭に、“麦
とろの日”なる幟が並んでいます。そん
な日が有ったんですね。帰ってからネッ
トで調べてみると、「麦ごはんの会」が
、「む(六)ぎとろ(十六)」の語呂合
わせで、平成13年に制定されたようで
す。変わった記念日が有るものですね。
ちなみに今日食べると何か良い事でも有
るんでしょうかね。
 玄米・赤米・黒米・緑米・そば米・丸
麦・はと麦・粟・黍・稗等々、健康ブー
ムで自然食品が見直されています。先日
テレビの健康番組でも、玄米を食べて癌
が治ったとか、信じられない人達を特集
してましたよ。
 先の大戦時、日本軍の兵食といえば米
と麦を混ぜて炊いた麦飯でした。ご飯の
量を増すための程度の低い「代用食」と
して扱われ、下士官兵出身者が今でも根
に持っている、「下士官兵に対する不当
な扱い」のひとつに挙げられてもいまし
た。麦飯支給についてはちゃんとした理
由がありました。当時の戦地では、ビタ
ミンB1の不足により、兵隊たちは栄養
失調で「脚気」を煩う者が多く、それを
解消するため、麦などの穀物や豆類を食
事に混ぜるようになったのでした。
 多くの文化圏の一般的な食事ではビタ
ミンB1の欠乏を起こすことはないので
すが、米を主食とする日本の場合、豆類
や肉類といった副食を殆ど食べずに精米
した白米ばかりを食べていると、米に含
まれる糠の影響で、ビタミンB1が不足
するそうです。
 江戸時代の「脚気」は、白米を常食で
きるような富裕層に限って発生する「贅
沢病」で歴代の将軍や天皇も脚気で倒れ
た例があるのですよ。
 “貧乏人は麦を食え”、戦後の食料難
では麦どころか、芋さえ食えなかった時
代を乗り越え、ようやく豊かになりつつ
有った昭和40年代、時の佐藤総理大臣
の発言が話題になりました。そうなんで
す、その時期から人々はようやく白米の
ご飯を常食できる経済力を持ったのでし
た。そのため、自ずと麦飯は貧乏人の食
べ物となってしまったんです。
 しかし、今では麦とろは高級食品。近
所の麦とろ屋さんでは、麦とろ定食が三
千円以上。貧乏人には食べれない食品に
って、麦とろって、ハナ食ってるみたい
なんだもの・・・。
 昨夜、娘が父の日なので外でご飯を食
べようと言い出しました。父の日なんて
のを祝って貰うのは初めてです。家族四
人で近所の料理屋さんでちょっと贅沢。
娘から、携帯電話の電磁波を吸収してく
れるらしい、トルマリン製のストラップ
をプレゼント。息子はボーナスが出たら
何かと言っています。会話っていっても
これといった話題も無く、些細な事でも
示し合わせたように笑う家族。麦飯は食
べなかったけれど、昭和40年代のテレ
ビドラマの家族のようでした。