昔はどこの家でも便利に使っていた、
置き薬って知ってますか。話せば長くな
るので、ここでは省略しますが、江戸時
代から有った制度のようですよ。

 その置き薬に必要だったのが、ここに
登場する可愛い箱たちなのです。あほま
ろが子供の頃、いつも神棚の下の茶箪笥
の上に。丸の中に光の文字が書かれた置
き薬の箱を今でも鮮明に覚えてます。
 20年も前だったでしょうか。古い我
が家が取り壊しされる前までは確実に存
在していたのですけど、その後の足取り
は分かりません。そんな懐かしい置き薬
の箱を、数年前、上野の骨董市 で偶然見
付けたのです。
 丸の中に光の文字の薬箱。二千円のと
ころ、ちょっと値切って千八百円で買っ
ってきたのです。それ以来、あほまろの
部屋で、貴重品入れとして、今でも現役
なのです。毎日眺めているうちに、レト
ロでシュールなデザインにひかれ、狂っ
たように集めるようになってしまいまし
た。
 喧嘩して血を出した時、半べそをかき
ながら、おふくろに隠れて赤チンを塗っ
た日、修学旅行の前日、水に当たった時
にハラ薬、寒気がしたら風邪薬、汽車に
乗る前には車酔いの薬等々、たった一泊
二日の旅行だというにに、おふくろが、
小袋に詰め込んで、リックの中に入れて
くれた時も、赤い薬箱が見守ってくれて
いたのです。
 毎年春と
秋には、何段にも重ねられた
大きな篭いっぱい薬を詰めてやって来た
販売員。薬独特な臭いが染みこんだ四角
い風船を貰えるのがとっても楽しみでし
たね。

 置き薬の箱は、地域に
よって違った顔を持って
います。違いをお楽しみ
ください。

 うちに来てくつろいでいる僕の置
き薬の箱たちです。箱の中には、僕
の大切なメンコや絵葉書などがいっ
ぱい詰まっています。こんな可愛い
箱たちも以前は、骨董屋さんの奥で
ほこりまみれで転がっていたのです
。みんな僕に見付けられた幸せもの
なんです。       
 僕の経験では、骨董屋で可愛い箱
を見付けた時には、絶対に欲しそう
な顔で値段を訪ねてはいけません。
 他の高そうな物に興味が有るふり
をするのです。その高そうな物がも
の凄く欲しそうな態度で、何でも良
いから質問を投げかけるのです。時
には、財布を取りだして中身を確か
めるそぶりも・・・。      
 そして、「今日は持ち合わせが少
ないので、また来ますよ、縁が有っ
たら売れずに残っているでしょう」
、なんて言葉でオヤジを信用させる
のです。そんな時、オヤジが予約も
できますよなんて言ってくれるはず
です。嬉しそうな顔を忘れずにね。
 帰り間際に、手ぶらで帰るのも何
ですから、お近づきの印に今日はあ
れを貰って帰りましょう。ところで
お値段は?         
 絶対に安くしてくれるはずです。
これら置き薬箱の相場はだいたい三
千円〜五千円程度ですが、ネットオ
ークションなどでも時々出品さ
れて
います。その相場は二千円〜三千円
が普通です。ラッキーだったら百円
で買えた時もありましたよ。でも、
送料は宅急便の着払いで、六〜七百
円かかりますけど・・・。   
 置き薬の箱たちは、ほまろの秘密
基地に、約百個ほど仲良く寄り添っ
ていますよ。全部紹介したいのです
が、日々増え続けているもので。

最初期の箱
こんなのも