絵本「色里三十三所息子順禮」


 十番 市谷山谷てら 本尊 五十客ハ塩の地蔵尊         
    じくじくと水のわきでる谷合のあなへはまれハ 銭のいる穴 
    蝋燭代百文 日本橋より一里               
十一番 追分山新宿寺 本尊 遣ふ金のむた如来               つながれた馬まで宿の君たちの かほをめがけてたいこ打なり     開帳銀弐朱 同二里                   
十二番 四ツ谷山鮫が橋てら 本尊 安玉おたふく弁財天           したたかにとられて酔がさめがはし                  そのくせ穴のはたものぞかず                    蝋燭代百文 同四丁                   
十三番 赤坂山田町てら 本尊 客が先へ寐釈迦如来             さあきなとねておびをときはだとはだ     蝋燭代百文 同三十丁                  
十四番 市兵衛門山麻布てら 本尊 新造突出しの尊像            てつぽうといふももつとも市兵衛丁                 そそつてミれハ玉そろひなり                    蝋燭代百文 同一里三丁                 
十五番 同所藪下てら 本尊 仕切出居衆のミだ如来             くるきゃくをばかすとしまのきつね女郎               しかもけぶかきへその下やぶ                    蝋燭代百文 同一里八丁