今朝のビクトリー君は、日の出前のまだ薄暗い境内へ、羽音を立てながら飛んで来ましたよ。
おはよう、ビクトリー君。
そして、おはよう、レインボーちゃん。
今朝は二羽そろって早起きですね。
まだ眠そうな顔をしているのかと思ったら、どうしてどうして、お目々はパッチリ。
特にビクトリー君の橙色のお目々は、暗い境内でも宝石のように輝いておりましたよ。
こんなに早くから元気いっぱいということは、夕べはよほどぐっすり眠れたのでしょうね。
ハトにも寝坊というものがあるのか知りませんが、少なくともこの二羽には「朝寝坊」という言葉は必要なさそうです。
まだ時間が早いため、境内には参拝の方の姿もほとんどありません。
それでは、誰も来ないうちに遊びましょうか。
いつもなら人の往来を気にしながら遊ぶのですが、今朝は広い境内が、まるでビクトリー君とあほまろの貸し切りです。
それにしても、こうして間近で見るハトの顔はなかなか凛々しいものですね。首元には緑や紫の光沢が浮かび、見る角度によって色が変わります。
普段は何気なく眺めているハトですが、レンズを通してじっくり見ると、なかなかのお洒落さんなのですよ。
久しぶりに、誰もいない本堂の真ん前を行ったり来たり。
この瞬間、静まり返った境内に聞こえるのは、ビクトリー君の羽音だけです。
まだ夜の名残を残した空気の中、本堂の大提灯を背景に、あほまろの手のひらへ乗るビクトリー君。恰好良いので、今朝の日記の表紙に使いましたよ。
この後、ビクトリー君は、あほまろをおみくじ売り場に誘いましたよ。その様子は、日記の最初に載せておきましたのでご覧くださいね。
「早起きは 三文どころか鳩が来る 手のひらひとつ 今朝の特等席」(阿呆人也)
おみくじ売り場でビクトリー君たちと遊び終えると、今度は小鳩のクロちゃんが姿を現しましたよ。
おはよう、クロちゃん。
生後半年ほどになったクロちゃんは、いつの間にかすっかり大きくなりました。
身体つきだけを見れば、もう立派な大人のハトとほとんど変わりません。
それでも、あほまろを見上げる目や、ちょっと落ち着かない仕草には、まだまだ子どもらしさが残っているのです。
最近のクロちゃんは、先輩のハトたちの真似をしながら境内を元気に飛び回っておりますよ。
ハトの世界にも、どうやら「見て覚える」という教育があるようですね。誰かが飛べば一緒に飛び、誰かが降りれば自分も降りる。そして、ビクトリー君があほまろの手のひらへ飛んで来るのを何度も見ているうちに、
それならボクにもできるぞ!
今ではクロちゃんまで、あほまろが手を差し出すと飛んで来て、
ちょこんと乗るようになってしまいましたよ。
今朝も羽をいっぱいに広げて、こちらへ一直線。
まだ着地はビクトリー君ほど優雅ではありませんが、それもまた若者らしくて可愛いものです。
羽を広げてみたり、首を伸ばして辺りを見回したり、最後にはすっかり落ち着いて、まるでここが自分専用の止まり木であるかのような顔をしておりましたよ。
おかげで今朝は、クロちゃんの写真をいっぱい撮ることができましたよ。
「手乗り鳩 ひとり覚えりゃ またひとり そのうち腕が 止り木だよね」(阿呆人也)
明るくなってくると、ハート君たちも次々と集まっていつの間にやらハトたちで大賑わいです。
薄暗いうちは静かだった境内も、空が明るくなるにつれてハトたちの動きが活発になり、あちらへ歩いたり、こちらへ飛んだり。手水場のカウンターは、すっかり彼らの社交場になってしまいましたよ。
夜明け前は、あほまろと数羽だけの静かな時間。そして空が明るくなると、仲間たちが次々に集まって、いつもの浅草寺の朝が始まるのですよ。
おはようピースちゃん。
おはようハート君。
君たちの子どものクロちゃんも、生後半年を迎えて、すっかり親離れしましたね。
ついこの間まで親の後を追いかけていたように思うのに、今ではひとりで境内を飛び回り、先輩のビクトリー君の真似をして、あほまろの手のひらにまで乗るようになりましたよ。
「お父さん、お母さん、クロちゃんは立派になりましたよ」
そう話しかけると、二羽とも何となく得意そうな顔をしているように見えてしまいます。
親は親、子は子。それぞれ別々に行動するようになっても、こうして同じ境内で毎朝顔を合わせて暮らしているのですから、人間とは少し違った家族のつながりが、ハトの世界にもあるのでしょうね。
それにしても、子どもは大きくなるのが早いものです。クロちゃんが逞しくなった分だけ、あほまろも半年ぶん歳を取ったということになるのですが――そこだけは、あまり深く考えないことにいたしましょう。
「親離れ した子を眺める鳩夫婦 育ったぶんだけ われも歳とる」(阿呆人也)
クロちゃん、いったん遊び始めると、もう止まりませんよ。
あほまろの手に乗ったり、飛び降りたり、また舞い戻って来たりと、朝から元気いっぱいです。
身体はすっかり大きくなって、見た目だけならもう立派な大人のハトですが、こうして夢中になって遊んでいる姿を見ると、やっぱりまだまだ子どもですね。
遊び疲れるという言葉も、クロちゃんにはまだ無いようでした。
散歩の帰り道には、今度はカラスが待っていてくれますよ。
今朝は最初、街灯の上から辺りを見渡しておりました。あほまろがやって来るのを待っていたのでしょうかね。
おはよう、貫太郎君。
ところで、お浅ちゃんはどうしたのかな。
さっきまで一緒にいたんだけど、あほまろが来るのが遅いから、どこかへ行っちゃったよ。
それは失礼いたしました。今朝はハトの連中と遊びすぎて、ちょっと遅くなってしまったのですよ。
ビクトリー君にクロちゃん、それにハート君たちまで集まって来たものですから、ついつい長居をしてしまいました。
あちらではハトに待たれ、こちらではカラスに待たれ、あほまろの早朝散歩も、なかなか忙しいものなのです。
貫太郎君は、今朝もいつもの瓜生岩子さんの警護。
像の前へちょこんと止まり、辺りを見回して、今日も瓜生さんの警護に余念がありません。
朝日を浴びる貫太郎君の、豊かな表情をご覧ください。
こうして間近で眺めていると、貫太郎君は実に表情豊かなカラスなのですよね。
目を細めてうつむいているときは、何やら難しいことを考え込んでいるようですし、顔を上げれば急に凛々しい顔つきになります。横目であほまろを見るときなどは、
また写真を撮ってるのかいと、少々呆れられているようにも見えてしまいますね。
言葉を交わせなくても、長く付き合っていると、その表情から何となく気持ちまで伝わってくるようになるから不思議ですね。
じっとこちらを見つめる貫太郎君の瞳には、何となくこちらの考えていることまで見透かされているような賢さがありますね。
瓜生さんの膝元へ寄り添い、すっかり馴染んでおりますよ。
これでは警護というより、瓜生さんに甘えているようにも見えてしまいますよ。