あほまろとモモちゃんの今朝の浅草日記

平成18年8月15日 (火) 旧暦7月22日

- 長野のお盆 -

日記


 浅草を離れ、とある取材で長野の天龍村に来ています。しかし・・・、この村ではPHSが繋がらないのでネットに接続ができません。今日の日記は帰ってからのアップになってしまいます。
 
 長野県下伊那郡天龍村平岡、ここは東京と違って湿気も無くとっても爽やかな朝を向かえました。今回は、早稲田大学生が中心となって日本で一番過疎が進んでいるという天龍村の村おこしをお手伝いしようと結成された、天龍村アートプロジェクト(TAP)の活動を中心に、村で行われるお盆の成人式の様子を取材に来たのです。
 しかし、村にただ一軒のホテルは満室。あほまろと助手の古麻呂は、目的地から2キロ以上も離れた「あしかが」と称する民宿に逗留することになったのでした。ここも、お盆の最中は宿泊者を断っているのを承知の上で、TAPの会長さんがお願いをして用意をしてくれたのでした。
 この「あしかが」って名前、ちょっと気になりませんか。それもそのはず、こちらにお住いのご主人は、足利尊氏(あしかがたかうじ)に由来する由緒正しい家柄のお方。元はこの地区の名主をされていた方が経営されている民宿だったのです。
 足利尊氏が京都に室町幕府を開き、南朝と北朝の対立から織田信長に滅ぼされるまで栄華を誇っていた名残が、今も窺えるかのような立派なお社も、母屋の隣に存在しているのです。こんなところに泊めてもらってバチが当たらないのかな・・・。そんなこと思って恐る恐るご主人にご挨拶をすると、ステテコ一枚で出てきた御当主、普通の優しい田舎のおっちゃんでしたよ(笑)。それにしても、650年以上も続く家柄、守って行くのは大変でしょうね・・・。

 そんな朝の、あほまろです。(古麻呂撮影)
   
 ワイドビュー伊那路3号で、平岡駅まで。そこからタクシーで1700円もかかる場所なのです。この村にはコンビニも無く、携帯電話だって街の集落だけが通じている、歴史を感じさせられる村なのです。 
   
  
------○------
『今朝の一写』
 民宿「あしかが」の壁に今もホーロー看板は現役です。この地区は公衆電話が無いので、旅人に便宜を図ろうと電話を貸しているのでした。玄関には普通の電話機が置かれ、薄汚れた貼り紙には、「100番で申し込んでください」と、書かれていたような。今も、100番申し込みって存在しているのかな・・・。
  
 朝、6時頃の天竜川支流の遠山川の上流です。民宿に掛かる鉄橋のボルトがおもしろかったもので。
   
 この一体は、昔は養蚕業の桑畑が多かったのですけど、養蚕を止めた現在の桑畑は、こんにゃくやキューイの栽培を行っているのです。道路脇で手を伸ばせばすぐに取れてしまうように鈴なりに成っているキューイ。触ってみるとまだ固くて食べれる状態じゃありません。これって、結構高級フルーツですよね・・・。
   
 昨夜は、国の選択無形民俗文化財に指定されている「和合の念仏り」を見てきました。踊りの由来は、江戸時代中期、集落の庄屋が年貢の減免を願い出るため、江戸へ出向いた帰りに川中島で習って村へ伝えたとされ、350年以上の伝統があるそうです。
 ここまでタクシーでおよそ一時間、帰りが困るので待って貰ってえらく散在してしまいましたが、不思議な踊りを体験することができました。
   
 念仏踊りが始まる迄は、集落の盆踊りです。集落といっても全員で300名ほどですが、最盛期には1600人を上回っていたそうです。この地方の盆踊りは、笛や太鼓の演奏も無く、歌だけ。歌詞は村に伝わる事柄から、男女の関係まで様々。
   
 盆踊りには、およそ300の歌詞が有り、それらが書かれた扇子も販売されておりました。あほまろも800円なりで一個買ってきましたよ。
 「盆の十六日が闇なら良いが、娘ひいたりひかせたり」
 意味解りますか。田舎では昔から盆踊りで男女が知り合ったそうです。
 「わしらの村では、春先生まれの子供が多い、ご先祖様のおめぐみよ」
 昔は、田植えの時期に臨月を迎える女性が多かったとか・・・。
   
 午後8時、柄の違う念仏踊り専用の浴衣を身に着けた若者が林松寺の境内に入ってきました。踊り手が2人1組で体をはげしくぶつけ合いながら踊る「ヒッチキ」です。とっても激しい踊りです。夢中で写真を撮っていると、ヤッコが長い竹の先に付いたチガヤをぐるぐる回しているのに直撃。痛かったよ・・・。
   
 太鼓もヤッコもヒッチキもみんなが笛に合わせてテンポをとっています。そしてその笛を担当しているのが、意外にも幼い子供たちだったのに驚き、これも集落の伝統なのだとか。  
   
 この後、念仏踊りはこの一年間に亡くなった方々のお弔いです。太鼓に合わせてお経にも似た地味な歌が延々と続いておりました。

 せっかく来たので、我々はもう一つの名物、新野高原の盆踊りも見てきました。この盆踊も長野県阿南町新野で伝承される盆踊、毎年8月14日から16日と24日に地区の通りに櫓を組みその周りで夜を徹して踊られるのです。
 こちらも楽器伴奏を伴わない歌だけの古風な盆踊です。重要無形民俗文化財にも指定されているそうです。
   
 この日ばかりは道路も止めて、延々と踊りの輪が出来ていました。
   
 午後10時を過ぎても、子供たちが大勢踊っています。みんな徹夜で踊るのでしょうかね・・・。ここでも恋が芽生えるのでしょうね。
   
 東京で世界最大級の盆踊りを実施したすぐ後に、こんな素朴な伝統文化に出会えたあほまろ、文化は無理して創り上げるものでは無く、自然に根付くものだっていうことを考えさせられてしまいました。
 これらの地区の昼間の状況も知りたく、昼間にもう一度来てみたいな・・・。
      


今朝の写真
CANON EOS-1DsMK2,CANON ZOOM 各種
撮影枚数59枚
昨日の写真
撮影枚数766枚