平成16年(2004)3月3日 水曜日
- 思い出も -

 三月になったとたんに寒い日が続きますね。今朝の浅草もとっても冷え込んで
います。まるで真冬に舞い戻ってしまったかのようにモモちゃんを曳く手が悴む
のです。
 雷門通りの歩道に新しい街灯が並びました。一昨年から進んでいた歩道改修工
事もいよいよ今月中に総てが完成するのでしょう。歩道に真新しく敷かれた真っ
白いブロックの上に並ぶ街灯には雷様の太鼓の図案でおなじみの太極図が描かれ
ています。この雷門通りは、お祭りやイベント時には見物用の桟敷も設置される
いわば浅草のステージとしての顔を持っている通りでもあるのです。
 せっかく広く綺麗になった歩道ですが、最近オープンしたスーパーマーケット
の前の無秩序な自転車置き場にすることだけは止めて欲しいです。夕方になると
人も通れないほどの自転車であふれています。確か、大店舗法では自転車置き場
の設置が義務付けられていたはずなのですが、このスーパーには自転車置き場な
んてのが有りません。舗道上に赤いコーンを並べて歩道を我が物顔に使っている
のです。このまま放っておくと歩道を使用しても良いとの既成事実に成ってしま
う前に、行政指導で徹底して欲しいものです。浅草のステージなのですから。
 「桃の節句」ですね。上巳の節句ともいい五節句の一つです。元々は3月上旬
の巳の日に行うのが慣わしでしたが、新暦になってからは3月3日に行われるよ
うになったそうです。桃の節句といっても、まだ桃の花は開花する時期ではあり
ませんね、桃の花はほぼソメイヨシノと同時期に咲く花のようです。東京では見
かけない花ですが、あほまろは以前に山梨県の石和温泉付近で満開の桃の花を見
たことがあります。
 甲府盆地の桃の開花は、国道に沿って縦に長く続く標高にあわせ、盆地の底か
ら咲き始め、笛吹川を渡りなだらかな扇状地を咲き上りはじめます。“まるでピ
ンクの絨毯”とは、まさにこの扇状地を埋め尽くす桃源郷を示しているのでしょ
う。桜の花よりも濃いピンク色の桃の花の見頃は4月の上旬だそうです。
 昨日の浅草の大火はニュースで繰り返し流されていました。繁華街の火事とい
えば、東京歌舞伎町での火事が思い出されます。今回も歌舞伎町の火事と規模は
同じ程度のビル火災でしたが、死傷者が出なかったのが幸いでした。また、物的
被害もスーパーの商品だけだったようで、それらは保険で解決できるようです。
 しかし、全ての物を失ってしまう消失感っていうのは、何にも堪えられない・
・・、火事で家をなくしてしまった旧友が語っていたのを思い出しまします。生
きてきた歴史そのものまでが失われてしまうむなしさ、思い出の写真やモノが側
に有ってこそ思い出を歴史として再認識できるのです。何も無くなってしまって
からは頭に残っているかすかな記憶のみが自分が生きてきた経緯なのだとか。
 激しい煙で燃えさかるスーパーに隣接するマンションの住民の方々も荷物を運
び出して避難をしていました。当然、トラック数台にもなろうとする家財道具を
総て運び出す訳にはいかず、手に持てるだけのバッグや段ボール箱。その中に何
が入っているのかは知れませんが、類焼を免れようと忙しそうに運び出している
モノのほとんどが思い出なのでしょう。
 現場で呆然と立ちすくむ70代と思われるおばさん、手に持った風呂敷包みの
中にはご主人の位牌とアルバムが数冊。「何を持ち出したのですか?」、無神経
なインタビューをするテレビ局のレポーターを腹立たしくも思えたのでした。
 あほまろには火事の経験がありません。今まで何度も引っ越しをして繰り返し
てはいるのですが、そのたびに思い出の品物も一緒に着いて回っているのです。
小学校の頃の思い出、中学校の頃の思い出・・・、総てが実態を持ったモノとし
て記憶と共に当時を鮮明に思い出させてくれるのです。
 一瞬にして総てを失ってしまう火事の恐ろしさを改めて考えさせられた、昨日
の火事、 思い出のモノとの別れは、死への旅立ちの時にしたいですね。

今朝の写真
SONY DSC-F828
撮影枚数27枚