平成16年(2004)1月19日 月曜日
- 飼い主の気分 -

 モモちゃんの大嫌いな雨の朝になりました。玄関でしばし立ち止まって外の様
子を伺っているだけで、なかなか出たがらないのです。正直いってあほまろだっ
て、こんな朝は散歩なんかしたくないのですけど、モモちゃんの用足しだけでも
済ませてあげないといけない、飼い主としての責任なのでしょうがないのですか
らね。
 嫌がるモモちゃんを強引に引っ張って外に出ると、ランドセルを背負った小学
生達が、我々を奇異な目で見ています。小声で“かわいそうにね・・・”なんて
話しながら。まるで、どっかの飼い犬を盗んできたかのようにも聞こえる子供達
の会話に耳もくれず、雨で塗れた路面をリュージュのソリでも引いているかのよ
うに、 ズルズル、ズルズル、あ〜みんなが振り返って見ています。
 天気の悪い日は訪れる人も無い浅草寺境内は、とっても静かです。歩いている
のは、ここで暮らしているルンペンのおっさんだけ。このおっさん、あほまろよ
りも浅草生活が長いのです。こんな雨の日はいったい何処で過ごしているのでし
ょうね。いつも気になっているのですが、今まで話したことはありません。
 今朝、モモちゃんがあまりにもぐずぐずと不平をいっているようなので、“犬
は、飼い主の気分になるんだよ”、おっさんが話かけてきました。こんな天気の
中での散歩を嫌がっている飼い主のあほまろ、その態度と感じてモモちゃんも嫌
がっているのだとか。
 このおっちゃん、ふるさと長野県に居たころは、モモちゃんのような柴犬をた
くさん飼っていたそうです。ふるさとを捨て、東京に出てきてから5年、あちこ
ち転々として暮らしていたのですが、ここは毎日多くの犬が散歩にやってくるの
が楽しくて居着いてしまったそうです。おかげで、おっちゃんに撫でられたモモ
ちゃんの機嫌も直ったようです。人間には解らないテレパシーみたいなものが有
るのでしょうね。
 その時、おっちゃんのポケットの中から“♪どんなとき〜も、どんなときも・
・”、なんて曲か題名は忘れましたが、確かマキハラなんたらが歌ってヒットし
た曲の着メロ。話の内容を聞かれたくないのか、おっちゃんは携帯電話を持った
まま去っていきました。
 浅草寺境内で暮らすルンペンのおっちゃんが携帯電話。それも、ちゃんと使え
てるっていうことがとっても不思議な光景です。そういえば、毎日出会うこのお
っちゃんは物乞いをする訳じゃなく、ゴミ箱を漁ってる訳でもなく、時々立ち食
い蕎麦屋さんでも見かけるので、お金はいっぱい持っているのでしょうね。
 じっくりと顔を見たのは今日始めてでしたが、どことなく気品のあるルンペン
のおっちゃんでした。
 さて、モモちゃん雨の中でも楽しいお
散歩にしましょうね。“♪どんなとき〜も、どんなときも・・・”、鼻歌も飛び
出し、るんるん気分で歩くと、冷たい雨に打たれながらも、モモちゃんの機嫌も
上々。“犬は、飼い主の気分になるんだよ”
今朝はちょっと、楽しい気分・・・。

今朝の写真
SONY DSC-F828
撮影枚数22枚