2003年10月3日 金曜日


今朝の写真
SONY DSC-F707
撮影枚数35枚

歌舞伎三昧

 今年は、不況を追い打ちするような凶
作で、米の値段が昨年比で2割以上も上
がっているそうです。おかげで、米泥棒
が毎日のように起こっているようです。
米を盗んで、ネットオークションで売る
輩も多いそうですね。泥棒にとっても、
良い世の中になったってことでしょうか

 釜飯屋さんの軒先に、新米入荷の看板
が下がりました。ご丁寧に、米がいっぱ
い詰まった稲穂も添えられていました。
きっとお値段も上がっているのでしょう
ね。
 浅草が久しぶりに活気づいています。
昨日は、平日だというのに、午前中から
大勢の観光客がやってきました。雷門か
ら仲見世にかけては、普段でも人は多い
のですが、雷門通りの歩道いっぱいに人
が歩いている光景ってのは、三社祭りや
サンバカーニバルの時以来なのです。「
大浅草まつり」の効果は絶大ですね。
 昨日は、平成中村座のこけら落としが
行われました。人気芝居の初日とあって
大入り満員だったようです。このお芝居
は、一月前から売り出されたのですが、
歌舞伎会の特別会員でも入手が難しく、
あちこち手を打って、ようやく2日目の
桜席を入手することができました。
 2日目といえば、今日ですねぇ。午後
から楽しんできますよ。桜席とは、舞台
の袖の二階に作られた席で、定式幕の内
側なのです。そんな訳で、舞台作りの様
子や役者の素顔も覗けるっていう、とっ
ても通好みの席なのですよ。江戸時代に
は、ここのお客が、“音羽やぁ〜”、“
やまとや〜”なんて、役者を誉めていた
ので、いわばインサイダー。こんな連中
を“サクラ”って称するようになったの
ですよ。今日はとってもワクワク、ワク
ワク・・・。
 そんな訳で、昨夜は歌舞伎座。かねて
から楽しみにしていた演目でもある、中
村玉三郎の七役早変わり、『お染久松色
讀賣』を、観劇したのです。四世鶴屋南
北の作品で有名なこのお芝居ですが、原
作は、大坂東堀瓦屋橋通の油屋太郎兵衛
の娘お染と丁稚久松との情死の巷説なの
ですが、何故か受けが悪く舞台を江戸の
浅草瓦町と書き換えてから人気が出たお
芝居です。
 浅草瓦町といえば、今の浅草橋から両
国にかけての隅田川沿いの旧町名です。
やはり、江戸時代に最も栄えていた界隈
を舞台にすることによって、その人気が
出たのでしょう。また、このお芝居の所
縁でもある向島柳島の妙見堂も有名にな
りました。この妙見堂は、浅草から歩い
てすぐのところに現存しているのですが
、現在は大きなマンションの1階にひっ
そりと佇んでいます。注意して歩かなけ
れば、傍目にはそれとは分かりにくいの
ですが、境内に入ると近松の祈念碑など
も残っております。
 この妙見堂は、ご存知初代中村仲蔵が
、講談や落語でも知られたように『忠臣
蔵』の斧の定九郎の役つくりのためにお
参りしたところ。妙見様に日参し満願の
日に夕立に会い、蕎麦屋に飛び込んで見
かけた浪人の姿から芝居のアイデアを得
たという有名な場所でもあるのです。
 また、このその側にある料亭「橋本」
が『お染久松』の舞台となっているので
す。そして、主役を務める者は、お染・
久松・土手のお六他、全七役に早替りす
るのが見所なのです。まさにこの芝居が
作られた文化文政時代は、早替りが流行
り、大人気を博していた時代でもありま
した。
 この「お染久松」を始め、「東海道四
谷怪談」などの傑作が多い四世鶴屋南北
のお芝居は、どことなくテレビのバラエ
ティ番組のように、物語の内容を説明す
るよりも、芝居のおもしろさを強調する
ように書かれたお芝居が多いのです。そ
んな訳で、観る者が楽しければそれで良
しの感があるのです。難しい背景や物語
を考えないで、気楽に楽しめる“南北物
”の特徴なのです。今回も、15年ぶり
に挑戦する中村玉三郎。バラエティ番組
と思って若い人でも楽しめますよ。
 歌舞伎400年の今年は、江戸開府4
00年の年でもあります。このような、
記念すべき年に、浅草寺の境内で開催さ
れる「平成中村座」の意味は大きいです
ね。今夜の演目は、『文七元結』です。
男気の左官長兵衛が、自分の娘を売った
500両で、文七という身投男を救った
ことから、娘と祝言させるという筋立。
この話も、つべこべ理屈を考えることな
く、楽しめるお江戸バラエティですよ。