2002年2月18日 月曜日       

今朝の写真 
CANON EOS-D30
CANON ZOOM 17-35 F2.8
撮影枚数20枚

ロックの賑わい
 浅草の桜が満開になった!って言っても、仲見
世商店街に造花の桜が並んだだけだが、一気に明
るくなったような気がする。去年の記録を見ると
この桜が取り付けられたのは2月23日なので、
今年はちょっと早い。まだまだ寒い日が続くがあ
と一月もすれば本物の桜が咲き乱れるのだろう。
「歌った、踊った、喋った、泣いた、笑われた。
」これは、浅草演芸ホールの松倉会長が書いた本
の名前だ。渥美清・由利徹・三波伸介・伊藤四郎
・萩本欽一・坂上二郎そしてビートたけし。本の
タイトル通り、浅草から多くの芸能人が世に出て
いった。出ていってしまったというほうが正しい
のかもしれない。先日演芸ホールの知り合いから
貰ったこの本だが、どうせ、良き時代の浅草を誇
る私小説に過ぎないものと読みもせずにほっぽっ
ておいたのだが、昨日ひょんなことで、この本の
虜になってしまった。パラパラめくっていると、
浅草の芸人達の師匠だった深見千三郎さんの話が
克明に書かれているではないか。テレビ時代到来
で浅草で育った芸人達が、みんなテレビに取られ
てしまっても、浅草の火を守り通した根っからの
浅草芸人である。あほまろは学生時代、ロック座
の座長だった深見千三郎劇団を観るためにストリ
ップ劇場に通った。当初はストリップを観るのが
目的ではあったが、いつの間にか深見千三郎の魅
力に取り憑かれ、深見の芝居の時間を狙って通っ
たものだった。古典落語のように、何度同じ話を
聞いても面白いと思えるように、深見の芝居も同
様で、毎日同じお芝居を観ていても面白かったし
飽きなかった。それもそのはず出演者は同じでも
、客は毎日違っている。深見千三郎は、その毎日
違ったお客をネタにアドリブで芝居を進行して行
く天才だった。特に記憶に鮮明なのが「監督コン
ト」。深見が客席に隠れて座っている。舞台では
臭い芝居が演じられ客席からヤジが飛び交う。そ
こに深見が”カット”と、大声を上げて舞台に駆
け上がって行く。そして大根役者に芝居を着ける
。これがなんとも小気味良く楽しいのだ。後にク
レージーキャッツやドリフターズがテレビネタと
して真似て大受けをした、いわゆるウチワネタの
元祖だったのだ。浅草には松竹のデンスケ劇場な
ども楽しかったが、同じ木戸銭を出すのならこっ
ちの方が充分価値が有ると思って通い詰めたのだ
った。                   
 そんな懐かしい”ロック”の思い出を彷彿させ
てくれたこの「歌った、踊った、喋った、泣いた
、笑われた。」。今朝は昔の記憶を辿りながらロ
ックを歩く。当時の喧騒は無くなってしまい、過
去華やかな時期も有ったであろうホームレスの老
人達が無気力に座っている。ただ、その側のパチ
ンコ屋前には、一攫千金を夢見るギャンブラーの
行列がロック通りを賑わしているのだった。  
 元フランス座(現在の東洋館)で行われていた
テレビドラマの撮影は、スカイパーフェクトテレ
ビが制作している「浅草キッド」というドラマら
しい。北野武がフランス座のエレベータボーイを
していた頃、深見千三郎との出逢いを描いたドラ
マなのだとか。仲見世には桜が咲き春が来たが、
ここ”ロック”にももう一度花が咲いて欲しい。
みんな戻ってきて欲しい・・・。