2002年2月7日 木曜日       

今朝の写真
CANON EOS-D30
CANON ZOOM 17-35 F2.8
撮影枚数21枚

明日は針供養

 浅草寺の淡島堂では毎年2月8日に針供養が行
われる。「関西や九州では、十二月八日の事納の
日に行うのが通例となっている。この日は、針を
使うのを忌み、裁縫の業を休み、古い錆針や、折
れた針を集めて、豆腐やコンニャクに刺し、これ
を淡島社に納め、普段世話になっている針に感謝
の念とともに、針仕事の上達を祈願したのである
。特殊な風習としては、京都では折れた針を嵐山
虚空蔵に奉納し、金沢では「針歳暮」といい、針
山に刺した針をみな紙に包んで針箱に納め、床の
問に飾って土器に長方形の団子を供えて祭り、翌
日土器を残らず附近の川中に捨てて終わる。富山
県では、十二月八日は針山の針を盗んだといわれ
た嫁が、入水した日で、この日は海が荒れるとい
い、女性はみな針仕事を休んで供養する。」(針
供養縁起より)               
 針は、衣食住の衣、家族の人たちの衣を守るた
めに不可欠な働きをしているのだが、最近は業務
以外で針を使う人がどれだけ居るのだろう。昔の
人たちはそんな針に愛着と感謝と命を感じていた
のである。折れた針をそのまま捨てることなどと
ても出来なかったに違いない。すべての物にも、
命・働き・おかげを感じたその心は、一切衆生悉
有仏性の心そのものである。その命を供養する人
たちの心に何か現在の人々が忘れている一番大切
な姿を見ることができるのだ。        
 今の人達に、道具を大切にする心を伝えるこの
儀式。現代の使い捨て時代への反省として、この
心は特に必要なのだろう。また、お世話になった
多くの道具の捨て方についても、心を配るように
する気持ちを持ってもらうのが狙いなのかもしれ
ない。                   
 この淡島堂は、子授けや婦人病の治癒に御利益
がある。その総本社は和歌山県の加太神社だ。奇
妙なことに淡島様は少彦名神という説があるの
だが、やはり女神であろうということで、住吉の
神様の妃神であるという説もある。現在この淡島
様をお祭りしている神社は全国に多数あるが、淡
島神社・粟島神社・淡路神社などになっているが
、お寺系では浅草寺のように淡路堂と称され、婦
女子の安全を守ってくれる仏様として信仰を深め
ているのだ。                
 一寸法師−針の刀で鬼を退治して幸せになる昔
話は有名だが。針を畏敬し、針により魔を退治し
て幸せに至るという日本人の心につちかわれた伝
統が、この針供養の底に流れているのではないだ
ろうか。境内には「大東京和服裁縫師会」が50
周年の行事として昭和10年に建立した「針供養
之塔」が奉られ、この行事の主役となっているの
だ。針に関わるお仕事をなさる方は、ぜひ明日の
針供養にお出かけになっては如何ですか。