平成16年(2004)8月26日 木曜日

- 浅草の“音(リズム)” -

 モモちゃんに新しいお友達ができました。あほまろとモモちゃんは時々奥山の
「峠の茶屋」というおそば屋さんで朝食をとります。ここのおばちゃんは、いつ
もモモちゃん用にと、普通は一枚だけの“なると”を、10枚以上も入れてくれ
るのです。おかげで、モモちゃんの大好物になってしまいましたよ。
 「峠の茶屋」は、だいたい8時頃に開店するので、散歩がちょっと遅くなった
時には開いているのです。それを見たモモちゃんは強引にそっちの方に引っ張っ
て行こうとするのですよ。あほまろもおばちゃんと目が合ってしまうと、そば好
きなので通り過ぎる訳にもいかず、ついつい立ち寄ってしまうのです。
 いつものように、外に出されたテーブルでおそばを食べていると、スズメがや
ってきました。スズメをいえば極端に警戒心が強い野鳥で、人間、ましてや犬の
側に寄ってくるなんてことは絶対に無いはずなのに、とっても人懐こい態度なの
です。そう、思い出しました。以前にも遠くからこっちを見ているので、おそば
を一本地面に投げてあげると、喜んでそれを持って飛んでいったこともありまし
た。そんなことが何度か続いたっけ・・・。
 そのスズメ、今朝はなんとテーブルの上までやってきたのです。“おそば、ち
ょうだい”とでもいっているような素振りでこっちを見ているのです。なるとを
食べていたモモちゃんもびっくり。食べるのを止めてテーブルの上をのぞき込ん
でいます。
 おそばを一本あげてみると、端から数ミリずつ美味しそうに食べています。そ
れを食べ終わると、今度はモモちゃんのそばに行ってなるとが食べたいといって
いるようなのです。モモちゃんから一個貰って小さく切ってあげると、今度はそ
れを銜えてどっかに飛んでいってしまいました。もしかすると、巣の中でお腹を
空かして待っている子供達にあげるのでしょうかね。
 スズメの可愛い仕草に、モモちゃんも微笑んでいるようでしたよ。これから、
鳴き声に肖って、ピーちゃんって呼んであげましょうね。またあげるよ。
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 浅草に似合う音って、みなさんはどんな音を思い浮かべますか。若い方は、夏
の終わりのサンバのリズムでしょうね。この音も24年も続けているとけっこう
耳慣れたイメージになってます。また、昭和初期生まれの方はなんていったって
浅草歌劇の“♪ぼく〜は街中で一番、モボと言われた男・・・”、なんて気取っ
て歌うエノケン節でしょうかね。
 東京下町といえば、いの一番に演歌と答える方もいらっしゃるでしょう。でも
、昔からこの街には演歌は似合わないのです。それより三味線を伴奏として歌う
歌、長唄や端唄の方が浅草らしいのかもしれません。
 あほまろが真っ先にイメージするのもやっぱり三味線のリズム。それも、お座
敷でチントンシャンってのじゃなく、カッポレカッポレのリズムなんです。今で
も毎月第一日曜日には、浅草神社境内で櫻川ピン助一座の奉納踊りが行われてお
り、近所のレコード屋さんでも毎日流しております。
 かっぽれの源流は、五穀豊穣を願った大阪の住吉踊りに発し、江戸末期に大道
芸として流行したのです。河竹黙阿弥作の「初霞空住吉」(はつがすみそらはす
みよし)で当時歌舞伎の名優と詠われた九代目市川団十郎や、市川左団次らが新
富座の桧舞台で当時話題の紀伊国屋みかん船を取り入れたのがウケてお座敷芸や
、大道芸として大ブームとなったとか。
 二百年を超える流れの中で、多くの芸人たちが手を加え、現在では豊年斎五代
目櫻川ぴん助が「ぴん助のかっぽれか、かっぽれのぴん助か」と唄い踊り継がれ
ております。
 このカッポレのリズムって、どことなく和製ジャズって感じですよね。だから
という訳じゃないのですが、浅草にはジャズのリズムもピッタリの街なのです。
毎年おかみさん会が主催して、「浅草ニューオリンズジャズフェスティバル」が
開催されます。ニューオリンズから「ウェンデル・ブルニアスとニューオリンズ
ジャズオールスターズ」が快適な演奏を奏でる中、浅草公開堂を埋め尽くした往
年のモボ・モガ達が燃えています。踊っています、舞台に上がってしまう者も。
 華やかだったころの浅草を知る者たちはみんな老いてしまいましたが、あの頃
の“音”だけは、浅草の文化として残っていたのですね。
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 観音裏広場では、サンバカーニバルの機材が運び込まれております。今、サン
バのリズムに熱狂する若者たちが定年の時期を向かえるころ、あの頃の“音”が
、なつかしの音になっていないように、大切にしていくたいですね。
 そのうちきっと、浅草のサンバが世界一のサンバカーニバルになっているかも
知れませんね。浅草には、絶対に演歌が似合わない街なんですよね。

今朝の写真
SONY DSC-F828
撮影枚数28枚