吾輩はハトである。名はまだない──だが、人間どもは「ビクトリー君」と呼ぶ。

そして今朝、ついにその名にふさわしい勝利の瞬間が訪れた。

長らく吾輩の求愛をあしらい、冷ややかに見つめるばかりであったハートちゃん。だが今日、彼女は違った。
柱の上から静かに立ち上がると、ぎこちなく翼を広げ、吾輩の乱舞に歩調を合わせてきたのだ。

最初は危なっかしい。旋回もままならず、羽ばたきは不揃いで、まるで初心な踊り子のようだった。だが、それこそが愛らしい。吾輩は彼女を導くように旋回を緩め、二羽でひとつの円を描いてみた。

そして写真機の音が響いた。カシャリ──。

あほまろのレンズは、その奇跡のかたちを余すことなく捉えた。

浅草の石畳に立ち尽くす人間も鳩も、誰もが心の中で拍手を送ったに違いない。

恋は試練を経て、ついに形を結んだ。

それは愛の乱舞であり、記録されたツーショットは永遠の証である。

吾輩は心の中でつぶやいた。
「見たか、あほまろ。これが吾輩とハートちゃんの舞、浅草の空を染める愛の証だ。」

──これぞツーショットの勝利、これぞビクトリー。

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