表紙絵
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第八章 ツーショット


 吾輩はハトである。名はまだない──だが、人間どもは「ビクトリー君」と呼ぶ。
写真1
 そして今朝、ついにその名にふさわしい勝利の瞬間が訪れた。
写真1
 長らく吾輩の求愛をあしらい、冷ややかに見つめるばかりであったハートちゃん。だが今日、彼女は違った。
 柱の上から静かに立ち上がると、ぎこちなく翼を広げ、吾輩の乱舞に歩調を合わせてきたのだ。
写真2
 最初は危なっかしい。旋回もままならず、羽ばたきは不揃いで、まるで初心な踊り子のようだった。だが、それこそが愛らしい。吾輩は彼女を導くように旋回を緩め、二羽でひとつの円を描いてみた。
写真3
 そして写真機の音が響いた。カシャリ──。
写真4
 あほまろのレンズは、その奇跡のかたちを余すことなく捉えた。
写真5
浅草の石畳に立ち尽くす人間も鳩も、誰もが心の中で拍手を送ったに違いない。
写真6
 恋は試練を経て、ついに形を結んだ。
写真7
 それは愛の乱舞であり、記録されたツーショットは永遠の証である。
写真8
 吾輩は心の中でつぶやいた。
「見たか、あほまろ。これが吾輩とハートちゃんの舞、浅草の空を染める愛の証だ。」
写真9
──これぞツーショットの勝利、これぞビクトリー。
写真10

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