
本殿前でナナちゃんが来るのを待ってたヒロちゃん。

ナナちゃんを見付け、走ってきたのです。

ナナちゃんおはよ。

いつものようにスリスリしながら、世間話。

いったい、どんな会話をしているのでしょう。テレパシーが聞こえる装置が欲しいよね。

そんなの聞こえなくても、あほまろにはだいたい想像がつくんだけど、

きっと、人間の悪口を言ってるんだよ。

身勝手な人間によって野良猫にさせられてしまったヒロちゃん、

それに餌を与えてくれるのも人間、

いったい、どっちが正しい人間といえるのかな・・・。

そんなことを、いつもドラちゃんがいってるんだよ。

また、二匹でオイラの悪口を言ってるのか。

違うよ、哲学的なドラちゃんの考え方を話していただけだよ。

たとえ人間に捨てられても、可愛がってくれるのも人間ってか。

あっ、あれは・・・。

やっぱりそうだ、シンドラだ。

去年、浅草公会堂付近に暮らしていたシンドラですが、今年の2月頃から浅草神社の境内に出没するようになったのです。

浅草公会堂付近と伝法院の野良猫、みんな追い出されてしまったからなんだよね。

それで、最近は浅草神社でみんなの餌を狙っている、困ったヤツなんだよな・・・。

だって、誰も顔が恐いとかいって、シンドラには餌をくれないんだから、しかたが無いでしょ。

シンドラが来ると、いつものヒロちゃんは逃げてしまうけど、ナナちゃんが一緒の時だけは大丈夫。

いちばん迷惑しているのがクロちゃんなんだよ。

クロちゃんは年だから、いつも餌を盗られてしまうから、餌のおばちゃんは食べ終わるまで待っててくれるんだよね。

ドラちゃんは、ここのボスだからもっとみんなのことを考えて行動しなくちゃいけないんだけど、いつものんきに構えているし・・・。

充てにならないボス猫より、ナナちゃんの方が信頼できるんだよね。

だから、ナナちゃんと一緒の時が、ヒロちゃん一番幸せなんだよ。

ドラちゃんだって、ナナちゃんが居る時だけは、のんきにしてられるんだけど、やっぱりシンドラを見るお目々は鋭いかも。

クロちゃんのお目々も鋭いんだけど、最近は、シンドラが近づいただけで逃げてしまうんだよ。

なんたって、この顔。いかにもって感じでしょ。

それでもここを守るのが、ボスの役目。

ヒロちゃんだって、こんなに鋭いお顔で睨めるんだぞ。でも、喧嘩は弱いから逃げるが勝ち。

頼りないけど、頼るしか無いドラちゃんが居てくれるからね。

シンドラが境内に入って来ると、みんな、帰るまでは気が抜けないようです。

気を抜いているのは、ヒロちゃんだけかも。

しかたが無いよね。ヒロちゃんはまだ子どもなんだから。

子どもといっても、そろそろ1才になるんだぞ。もっと、みんなに協力しなくっちゃいけないよ。

ごろつきシンドラから、大切な餌場を守るために。

ナナちゃんもう帰る時間なんだ・・・。シンドラが恐いからヒロちゃんは鳥居の方には行けないけど、明日も遊んでね。バイバイ。君子危うきに近寄らずってのは良いことだよ。

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