平成16年(2004)12月1日 水曜日

- 師走入り -

 とうとう師走ですね。今年は仲見世の飾り付けがまだ行われておりません。た
だ、昨日と変わったのは沿道の軒先に紅白の繭玉が付けられただけなのです。ま
さか、正月の飾りを止めてしまったって訳じゃないでしょうね。でも、こんなの
だけでも、気分はもうお正月です。
 お正月が過ぎたらお花見、そして三社祭・・・。新しい年も浅草では同じイベ
ントが繰り返されるんですよね。あ〜また一つ老けてしまう・・・。
 観音裏広場では、注連縄市の仮設小屋の建設が始まりました。ここでは、毎年
、注連縄を売る業者のための市場が出来るのです。昔は東京中の業者がここで材
料を仕入れていたそうですが、最近ではあちこちに同じような市場が出来たり、
業者から直接仕入れる人も多く、年々出店する業者が少なくなっているのだとか
。でも、今年はまだ、普段絶対に見られない年末の光景を見ることができるよう
です。これも、絶滅を危惧されている一つなのかもね。
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 大衆演劇をご覧になったことがありますか。かつては、旅芝居、小芝居、寄席
芝居、ドサ回りともよばれ、小規模な一座で下町の常打ち劇場や地方のヘルスセ
ンターなどで公演する演劇なのです。
 歌舞伎などの大がかりなお芝居との違いは、比較的小規模の劇場で、観客と舞
台上の役者との距離が無くて一体感があり、料金も低く設定し、観客がわかりや
すい単純な内容でだれもが楽しめるお芝居なのです。
 ここ浅草には、かつては安来節の常灯小屋だった木馬館や六区の大勝館では、
毎日大衆演劇の公演が行われております。場内は中年から初老までのおばさま族
を中心に、通路、階段まで立すいの余地もないほどの混雑で、まさに熱気ムンム
ンなのです。
 歌舞伎などに比べて大衆演劇の大きな違いは、おあしが飛び交うことでしょう
。演ずる役者衆もそれを心得ていて、おあしを出したがっているおばちゃまに舞
台の上から流し目を送るのです。それに応えるおばちゃま、役者衆の好みを熟知
しているのか、好みのタバコや高級ウイスキーのたぐいを舞台のそでに並べたり
、一万円札で作ったレイを役者の首にかける御婦人もいるのです。
 そうなったらもう大変、どーっと舞台の上に駆け上るおばちゃまたち、役者の
首には一万円札の束がぶら下がっていくのです。お芝居の続きはってぇと、適当
に続けてはいるのですが元々筋なんてのは無いも同然、いい加減なところでチョ
ンと木が入り幕となるのです。
 あほまろの故郷、北海道の田舎町の映画館にも大衆演劇がやってきました。お
芝居が来るたびに祖母に連れられて観劇したのを思い出します。あの頃の差し入
れといえば、地元で採れた芋やトウモロコシなどでした。今のようにお金をばら
まくご婦人は見かけなかったような。
 そんな大衆演劇の集大成、「第16回全国座長大会」が今年も浅草公会堂で開
催されます。本来「全国座長大会」は、1979年より福岡の嘉穂劇場で開催さ
れている人気公演ですが、その興奮を関東の人達にも知ってもらいたいと始まっ
たのが、沢竜二さんが率いる旅役者たちなのです。
 今年のテーマは、どでかく「イチローに続け!!世界を目指せ!!」を旗印に
、 笑いと涙でおばちゃま達のお財布の中身を吸い取ってしまうのでしょう。
 12月23〜24日、浅草公会堂で開催されます。お芝居を観劇するというよ
り、おばちゃまたちの醜態の見物っていった方が当てはまっているんですよ、こ
のお芝居。ヨン様に群がっているおばちゃま達も同類項なのでしょうね。

今朝の写真
SONY DSC-F828
撮影枚数35枚