2003年10月16日 木曜日


今朝の写真
SONY DSC-F707
撮影枚数40枚

大菊花展始まる

 ちょっと肌寒いのですが、とっても爽
やかな朝です。まだ寝ぼけているモモち
ゃんを起こし、いつもよりちょっと早め
の出発となりました。今日は、午前11
時から始まる平成中村座の昼の部の観劇
。その前に、仕掛かっている仕事を済ま
せてしまわなくっちゃいけないのです。
 早朝の仲見世は、まだどこも開いてい
ません。ただ、暗黙の了解で仲見世に出
店している、ワンタッチ糸通し機なる屋
台、毎朝一番の開店です。観光客が誰も
居ない境内ですが、早めの場所取りなの
でしょうかね。
 仲見世の一番は、雷門から入ってすぐ
の人形焼です。ガラガラガラ、シャッタ
ーを上げる音が静かな仲見世に響き渡り
ます。それを合図のように、いつもモモ
ちゃんを可愛がってくれる和装小物屋さ
んもシャッターを上げます。
 最初の観光客は、二天門から台湾の旅
行団がやって来ます。今朝は5〜6名と
ちょっと少な目。今の台湾は、観光シー
ズンじゃないのでしょうかね。これが、
多い時には100名以上の人で賑わうの
です。
 同じ顔をしているので、観光客が日本
人なのか、中国人なのかを判断するのは
ちょと迷います。でも、観音様を拝む姿
で解るのです。線香を頭の上にかざして
長々と拝んでいるのが中国人。台湾では
、香炉の前に絨毯が敷かれ、参拝者はそ
こに跪いて拝むのが作法なのですが、日
本では絨毯が敷かれていないので、地べ
たに跪く訳にもいかず、ちょっと戸惑っ
た雰囲気にもみえるのです。
 “浅草の仁王門の中に吊った、火のと
もらない大提灯。提灯は次第に上へあが
り、雑沓した仲店を見渡すようになる。
ただし大提灯の下部だけは消え失せない
。門の前に飛びかう無数の鳩。雷門から
縦に見た仲店。正面にはるかに仁王門が
見える。樹木は皆枯れ木ばかり・・・”
(芥川龍之介「浅草公園」より)
 昭和二年三月十四日に書かれた、芥川
龍之介の「浅草公園」の冒頭部分です。
芥川が歩いた浅草の中で、その佇まいが
全く変わらないのが、ここ仲見世商店街
なのです。勿論、当時は近代的なシャッ
ターや、プラスティックの行灯なんての
は無かったでしょうが、仲見世を見渡す
宝蔵門の大提灯も、伝法院の庭の樹木も
、浅草で唯一往時の姿を留めているので
しょう。
 昔から小説や手記の中の浅草寺には、
境内のハトが登場します。また、春夏秋
冬境内に咲き誇る草花も描かれています
。今日から開催される「大菊花展」は、
昭和27年から行われているそうですが
、戦前も浅草寺は「菊花」で有名なお寺
だったのです。特に菊人形が有名で、東
京では湯島天神とその豪華さを競ってい
たようです。
 浅草神社では、かつて武家社会におい
て子供の成長の節目にあたって行われて
きた七五三のお祝いの看板も出されまし
た。これから一月間、今年はどんな花を
見せてくれるのでしょう。
 “前の石燈籠の上部。石燈籠は柱を残
したまま、おのずから炎になって燃え上
ってしまう。炎の下火になった後、そこ
に開き始める菊の花が一輪。菊の花は石
燈籠の笠よりも大きい・・・。(芥川龍
之介「浅草公園」より)
 石灯籠の笠よりも大きいと表現されて
いる、浅草寺の菊花。これから徐々に開
いていく菊たち。古来から変わらずに咲
き誇る菊花を毎朝観察できる、幸せな、
あほまろとモモちゃんなのです。