2003年10月10日 金曜日


今朝の写真
SONY DSC-F707
撮影枚数34枚

語り

 10月10日は晴の特異日だそうです
が、どんよりと曇ってとっても寒い朝に
なりました。ちょうど40年前の今日は
東京オリンピックの開会式が行われた日
を記念して、本来なら“体育の日”とし
てお休みなのですが、祝日改訂で、10
日に一番近い月曜と変更されてしまいま
した。おかげで変更後の体育の日は雨が
多いんですよ。今日はせっかくの晴の特
異日だっていうのに。
 そんな訳で三連休を間近にした浅草寺
境内では、菊花展の準備が行われており
ます。また、観光客目当ての屋台も並び
ちょっとしたイベントが行われるような
活気に満ちあふれています。これも「奥
山風景」と「平成中村座」のおかげでし
ょうね。
 「奥山風景」の一環として、風変わり
な見世物が観る者の笑いを誘っています
。出し物は、“大いたち”、“大ざる・
小ざる”、“大かみ娘”。木戸前で言葉
巧みな誘い文句が楽しいのです。この世
のものとも思えない摩訶不思議な怪物が
木戸銭たった百円で楽しめるのです。も
ちろん、平成浅草小判も使えますよ。
 “親の因果が子に報い・・・。因とは
原因、果とは結果を意味する。即ち、原
因と結果の法則のことを因果の法則、略
して因果という。因果は仏教の要ともい
うべき重要な教えであり、この因果の法
則を本当に納得すれば、それだけで聖者
の位に入るといわれる。さて、このたび
浅草奥山にて始めて公開せるこの因果、
人間誰しも、自分だけはうまい事をしよ
うという心を戒め、観る者に幸せをもた
らすといわれる・・・。さぁ、お代は観
てのお帰りだよ〜!”
 良くもまぁ、くだらない物を見せるの
にたいそうな語り。しかし、この語りが
無ければ誰も入らないのでしょう。詐欺
にも思えるこの見世物も、“語り”のお
もしろさで笑って許してあげましょうね。
 “おっと、他言は無用・・・、
内容は観てのお楽しみだよ!”
 浅草で有名な洋食屋さん「ヨシカミ」
。昨日は、「ヨシカミ」の女将、熊澤南
水さんの舞台朗読「一葉の夕べ」を聞い
てきました。女将は、舞台朗読の草分け
的存在である幸田弘子氏に強い刺激を受
け、昭和58年から俳優三上左京氏に師
事して、本格的に舞台朗読の勉強を始め
たそうです。女将が特異とする朗読の作
品は、主に永井荷風の「すみだ川」や「
断腸亭日乗」など浅草を舞台にした小説
を特異としているのですが、今回は樋口
一葉の「十三夜」を語ってくれました。
 朗読といっても、女将は本を読むので
は無く、完全に暗記した物語を、振りを
つけて語るのです。人情物の落語を聞い
ているようでもあるのです。
 まるでお芝居でも観ているかのような
舞台演出もさることながら、会場を埋め
尽くした観客は、ぴーんと張り詰めた雰
囲気の中で一語一語歯切れよく丁寧に語
りあげられるハリのある声に、樋口一葉
と日本語の美しさを改めて感じているの
でした。聞くところ、女将には7人のお
孫さんが居るそうですが、堂々と語る姿
は、とってもお若く見えましたよ。
 以前、テプコ浅草で、荷風作品の朗読
会が行われた時は仕事の都合で参加でき
なかったのでしたが、次の機会にはぜひ
「断腸亭日乗」の語りも聞いてみたいで
すね。次の予定が解りましたら、またこ
の日記で紹介いたしますね。