2003年2月12日 水曜日

今朝の写真
SONY DSC-F707
撮影枚数26枚

稲荷町

 外に出ると粉雪のようなものがちらち
ら、寒さが戻ってきましたね。でも、こ
の時期は、厳冬から春に季節が移り変わ
る時期でもあります。生気は躍動し、草
木を始め万物が活動を始める時期で、そ
の陽気が一番盛んになるのが、初午(は
つうま)の日と言われております。
 しかし、それは旧暦で暮らしていた頃
の話。今年の旧暦では3月10日となり
ます。初午とは二月の最初の午の日で、
稲荷さまを祀る日。稲荷は農耕神的な五
穀をつかさどる神で「いなり」は「稲な
り」の意味にも通じ、全国各地で初午の
行事が残っておりますが、今ではすべて
新暦に行うようになったようです。
 浅草でも、被官稲荷などお稲荷信仰も
多く、この日は地口行灯を掲げてお祝い
をしております。地口行灯といえば、本
来は初午の日に家々の軒先に飾る物なの
ですが、伝法院通りには年中飾られてい
るんですよ。
 今朝の浅草寺境内は訪れる人も少なく
、目立っていたのは、家財道具を総て背
負っているのだろうと想われる、訳有り
の連中達。何を相談しているのか、車座
になって、本堂の横の犬の遊び場を占領
しております。犬仲間の話によると、炊
き出しを振る舞ってくれる人を待ってい
るのだとか。そんな人、あほまろは今ま
で、見たことも聞いたことも有りません
よ。でも、こうやって訳有りの連中が集
まって来るんですから、きっと誰かが施
しに来るんでしょうね。どんな人が来る
のか興味が有ったのですが、いつ来るか
は判らない人を待つ訳にはいかないです
よね。しかし、この訳有り連中、みんな
ふくよかで楽しそうにも見えるんです。
この不景気でも、働こうと思えば何か見
付かると思うんですけどねぇ・・・。
 昨日、歌舞伎鑑賞に行ってまいりまし
た。歌舞伎座にもお稲荷さんが祀られて
り、初午の時期になるとロビーいっぱい
に20個以上の地口行灯が飾られます。
 二月の公演は、このようにいつもと違
った雰囲気の歌舞伎座が楽しめるんです
よ。ちなみに、今月の演目は狐忠信が暴
れ回る「義経千本桜」の通し狂言です。
昔から、初午の月には狐物を演目にする
と大入りになるといわれ、昨日も大入り
満員の盛況ぶりでした。
 江戸時代には、立役の役者の内いちば
ん下の人たちを”稲荷町”と呼んでいま
した。お稲荷さんの祝い日、特に初午は
”稲荷町”の役者たちにとって、特別な
日なのでした。