2002年6月14日 金曜日       

今朝の写真
SONY DSC-F707
撮影枚数32枚

生涯学習

 最近、「生涯学習」って言葉が流行っている。
台東区にも昨年オープンした「生涯学習センター
」なる派手な箱物が建ったのだが、本来の「生涯
学習」の意味を成し得ているのだろうか。そもそ
も「生涯学習」ってのは、自己の充実・啓発や生
活の向上のために生涯を通じて主体的に学習する
ことを目的に、1990年に生涯学習振興法とし
て制定されてから言葉だけが先走ってしまったよ
うな感じに見受けられる。    
 世界屈指の先進国になり得た我が国は、戦後の
復興からおよそ50年を「成長社会」とすれば、
これからの日本は「成熟社会」、「円熟社会」と
いえるだろう。そのような社会では「余暇」を充
実させることが、人生をより楽しく生きるための
得策といえるのではないだろうか。趣味や娯楽は
もちろんのこと、もう一度「学習」する事で、よ
り善く生きるための方法なのだろう。     
 最初っからなんだか難しい書き出しになってし
まった。今朝、浅草寺境内には大勢の小学校高学
年の団体が楽しそうに遊んでいる。見た感じは修
学旅行には見えないのだが、有名な煎餅の袋を下
げているので、旅行の一種なのだろうか。数名の
子供に声をかけてみたが、変なおじさんと相手に
されない。あきらめて帰ろうとした時、一人の男
の子がモモちゃんが可愛いと声をかけてきた。そ
うなるといつも通りの展開。今まで口を噤んでい
た連中も、堰を切ったように集まってきたのだ。
 千葉県の市川から「生涯学習」でやって来たと
いう。何、まてよ。今年から小学校の授業に、「
総合」と言われる時間が出来たのは知っているが
、小学校に「生涯学習」ってのはちょっと変だ。
同伴の若い先生にその事を問うと、「総合」の授
業の一環として、生徒達の提案でお爺ちゃん、お
婆ちゃんの好む観光地を実際に訪れ、老人が何を
好んで集まって来るのかを探り出そう。ってこと
らしい。それを、「生涯学習」って教えているよ
うだ。老人になっても、勤勉意欲を持ちなさいっ
て意味なのかは判らないが、子供達は今日の旅行
を「生涯学習」って呼んでいるのは確かなのだ。
 それにしても、浅草が、”お爺ちゃん、お婆ち
ゃんが好む場所”ってのは間違ってるよ。本当に
そんな場所を求めるのだったら、巣鴨の「とげ抜
き地蔵」にでも行った方が良かったのでは?  
 浅草が老人に好かれる町。そんな表現を思い出
しながら、いつもの散歩コースを歩いていると、
すれ違う人は確かに老人ばかり、でもみんな地元
に住んでいる老人なのだ。この街は老人が好む街
では無く、老人が多い街って表現が正しいのかも
知れない。                 
 おやっ!浅草演芸ホールの前に大勢の老人が集
まっている。何にでも興味を示すあほまろ、さっ
そくそれが何であるのかを訪ねて驚いた。東京産
業信用金庫の「年金の会」で、毎年受給者を浅草
に招待し、落語と浅草を楽しむのが恒例となって
いるそうだ。そうなのか、やっぱり浅草は老人が
好む街なんだね。このように、落語を楽しむ老人
に「生涯学習」って言葉がピッタシなんだよな。