放置自転車対策の現状と問題点 

・区内の自転車の保有台数に見合う自転車の駐輪施設の整備は、困難である。
・現在の法律や条例のもとでは、有効な自転車の利用が不可能である。

                                    

 現在の台東区の放置自転車条例は、駅前等に放置自転車が散乱する状況において、
区民から通行妨害、景観等の苦情が寄せられる中で、この問題を解決するために自転
車駐輪場を設置し、違法駐輪車を取り締まるために昭和59年に制定され、60年4
月から施行された。                      

                                   

 台東区民の自転車の保有台数は、平成3年度の調査では、127、784台であり
保有台数は平成10年度においても、それほど変わらない状況と推察される。従って
台東区民の中で、自転車乗車可能者が1人1台保有していることになり、仮に、1人
1日30分乗車したとして、1日あたり23時間30分は、その自転車は、どこかに
置かれていることになる。                     

                                   

 自転車を利用しない時間帯は、置き場所として、自宅の敷地内やマンション等の駐
輪場が確保されるが、台東区内で自転車を利用する場合には、区内の各所に駐輪施設
を設置するか、あるいは、民間にお客の分まで、駐輪施設の設置を義務付けなければ
自転車を道路に放置せざるを得ない状況になる。           

                                    

 しかし、23区で最小な面積しか有しない台東区は、人口密度も高く、個人所有の
土地も狭隘で間口の狭いものが多く、民間に駐輪施設の設置を義務付けることは、極
めて困難な状況であると思われる。また、区は、通勤、通学で自転車を利用する人の
ために膨大な資金で駐輪場を設置しているが、その収容台数は、わずか4、500台
であり、区内に存在する約13万台の自転車の内、約3.5%にしかすぎない。しか
も、常時利用できるのは、実質的に契約者に限られており、1日利用者などは、臨時
の駐輪のため勝手が分からず、使いにくい施設となっている。また、1台あたりの駐
輪施設を造るのに、45万円の巨費が投じられており、公平性と行財政改革の面から
も、大いに、考える必要がある。                

                                    

 さらに、道路交通法第76条第3項によれば、「何人も、交通妨害となるような方
法で物件をみだりに道路に置いてはならない」と規定されているために、台東区内で
自転車を利用する場合は、現状では、駐輪施設の整っているところ以外に置けば、放
置自転車として道路交通法違反となってしまう。したがって、放置自転車条例を、承
認した、議員、また、取り締まりをする立場にいる、警察官、役所職員でさえも、区
内で自転車を使用して、条例を守ることは、極めて困難と考える。        
誰もが、守れることが困難な条例が存在していることが問題で、したがって、警察も
役所も、駅前等の場所以外、放置を是認しているように思える。       

                                   

 このような状況で、台東区内で自転車を利用する区民は、道路交通法と条例の解釈
によって、自転車を所有することも、使用することも極端に制限されることとなり、
区内での適法な自転車の使用は、ほぼ不可能とならざるをえない。   

                                    

 多額の資金を投入して駐輪場を建設し、放置自転車を取り締まるために多大な労力
を投入しても、期待した効果は上がっておらず、社会及び道交法が自転車に対する、
意識を改革し、根本的に対策を見直す必要があると考える。