寒さも和らいだようなので久しぶりにモモちゃんも一緒に歩いてきました。といっても、長距離は無理なので雷門から仲見世を通り伝法院通りでお別れでしたけどね。ナナちゃんの用足しをしていると、雷門前のモモちゃんが早くおいでよと言わんばかりに吠えてましたよ。せっかく外に出られたのだから、止まっていないで歩きたかったようですね。多少足はふらついているのですが、元気だった頃を思い出しながら、ゆっくりゆっくりと仲見世の石畳を踏みしめていました。そんなモモちゃんの様子を、ナナちゃんは後ろからじ〜っと見守っているのでした。これからはどんどん暖かくなっていきます。これからもモモちゃんの調子の良さそうな朝は、一緒にお散歩を楽しみましょうね。
テレビの「なんでも探偵団」の人気で、最近の骨董市では古いモノなら何でも価値を持っているかのように錯覚させられますよね。あほまろも古いモノは好きですが、それは興味を持って研究しているモノだけに限られているので、何でもかんでも買い集めることはしません。でも、どのジャンルにも興味だけは持っているので、骨董市が開催されると、なんとなく足を向けてしまうんです。ここ浅草でも、東京都立産業貿易センター台東館で定期的に骨董の展示販売が行われ、嘘か誠か、ん千万円の値段が付けられた有名画家の掛け軸や古伊万里の名器などが所狭しと並べられているのです。
その骨董市で、過去にあほまろが衝動買いをしてしまった「器」があります。普段は骨董市に並んでいる「器」類には全く興味が無く、目的のモノを探しながら素通りをしていたのですが、その時、何故かその「器」が目に留まってしまったのです。
それは、佐賀の三右衛門と称される、柿右衛門窯、今右衛門窯、太郎右衛門窯のお茶碗三個揃いでした。揃いといっても、最初からセットで作られたモノでは無く、店主が同じような大きさで三個揃え、それに有った桐箱に入れ、もっともらしく毛筆で能書きまでしたためているのです。あほまろが気になったのは、その中の一個だけ、でも、セットで無ければ売らないとのことで、仕方なく揃いで買わされてしまったのです。
それは、佐賀唐津で「御茶わん窯」と呼ばれる御用窯を270年も続けている中里太郎右衛門窯の御茶わんでした。この窯には何度も足を運び、展示館に並ぶ古唐津の風貌を目に焼き付けていたので、確か、これは重要文化財にも指定されている「絵唐津芦文壺」と同じ作風じゃ無いのかな・・・。
あほまろは焼物を集めようとはしませんが、日常使いの器にも懲りたくて、これまでに何度も佐賀県の窯を訪ね歩いていたのです。そんなことで旧知の仲となった窯主も多く、彼らは時々展示会などで東京を訪れ、陶器の話題で盛り上がることも屡々。その時に入手の経緯を話しながら、古唐津の芦絵(葦)が鉄絵で描かれた壷を見せると、「絵唐津芦文壺」に間違い無い、享保年間の5代中里太郎右衛門作かも知れないとのことでした。彼はさっそくそれを持ち帰り、中里窯で鑑定をしてもらったところ、正真正銘の古唐津「絵唐津芦文壺」だったのでした。
お値段はというと、安物の一眼レフほどでしたけどね。それより、ぜひ美術館で展示をしたいとのことで、そのまんま帰って来ないんですよね・・・。
実は、どうして今になって、そんな古い事を思い出したのかというと、新聞のお悔やみ欄に、鑑定をしてくれた13代中里太郎右衛門さん(85歳)がお亡くなりになったとの記事を見つけたからでした。あほまろは今も、13代がお作りになった湯飲み茶碗を大切に使っていますよ。ご冥福をお祈り申し上げます。
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