平成16年(2004)11月5日 金曜日

- 秋深し・・ -

 秋深し・・・、でも明後日はもう立冬です。二十四節気は太陰太陽暦(旧歴)
を使用していた時代に、季節を現すための工夫として考え出されたもので、1年
を24当分にし、その区切りに立春、雨水、啓蟄、春分、清明・・・等々の名前
を付けたのです。このように、人間が1年の長さを測ろうと考えるようになった
一番の原因は、農耕や狩猟といった社会生活を円滑に営むための手段としたから
なのでしょう。
 季節が一巡りする長さは旧暦の方が今の暦よりもず〜っと季節感が有ったので
すね。そんな訳で、深い秋は明日までということになるのですよ。
 今朝もとっても良いお天気です。浅草で暮らす野良猫たちもあちこちで日向ぼ
っこをしています。仲見世のドラなんかは、モモちゃんが来てもお構いなしに、
仲見世のど真ん中で横になっています。浅草神社のトラは手水場の上でお休みで
す。我々が近づいていくとゆっくりと起きあがって喉を潤します。もちろんそこ
を逃げ出すことなんて無いのです。じ〜っとモモちゃんを睨み付け、またまたお
休みになってしまいました。
 ポカポカ陽気の境内に伸びる影はますます長くなっています。昔の天文学者は
一年で一番影が長くなる日を「冬至」と名付け、一番短くなる日を「夏至」とし
たのが良く分かりますね。
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 「東京時代祭」は終わりましたが、浅草寺境内では引き続き「菊花展」は開催
されております。ほとんどの菊は文化の日を盛りに造られているのですが、あほ
まろが観察している大懸崖だけは未だに8分咲きです。いち早く満開になった花
はすでに盛りを過ぎてしまったようで、まだ蕾のままでいる花が開く頃には枯れ
てしまうのでは・・・。今年はきっと配合を間違ってしまったのでしょうね。他
の懸崖類はみな文化の日に満開になったのですよ。
 これら花を育てる基本は旧暦、いわゆる月齢によって種を蒔く時期などを決め
ているのだそうです。“でも、秋と春の境目を見極めるのが難しくって、冬至を
過ぎるともうだめだね・・・”、境内で菊の手入れをしている造園業者がこぼし
ていました。暦は科学的な太陽暦になっても、自然界は未だに月齢で動いている
のでしょうね。影の長さを見ながら実感してしまいました。
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 昨夜、あほまろは歌舞伎座でお芝居鑑賞です。吉例顔見世歌舞伎、夜の部は「
鬼一法眼三略巻・菊畑」「廓文章・吉田屋」それと、あほまろのお目当て、片岡
仁左右衛門初役の「天衣粉上野初花(くもにまごううえののはつはな)・河内山
」。
 河竹黙阿弥作で、初演は明治14年、大政奉還から僅か14年しか経っておら
ず、江戸庶民は、未だ武士階級がやっつけられる芝居を好んで観劇していたので
す。そんな中で、この「河内山」所謂お数寄屋坊主に、大名がやっつけられるお
芝居。大ヒットした背景が理解できるような。観客は、宗俊に自己を重ね、権力
者が笑い者になる様子に喝采するのですね。いや、江戸庶民じゃなくても、今の
世の中にもどこか通じているようですよ。河内山が花道を去る途中の捨てぜりふ
、“ばかやろう〜!”、あの言葉に総てを凝縮しているような。
 河内山宗俊は、あからさまに金を欲しがっている。観客も、もちろん金を欲し
がっている。その共通した欲望が、観客の河内山宗俊に対する感情移入を容易に
し、河内山宗俊の行動に爽快さを感じるのでしょうね。いや〜爽快、爽快!
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 金といえば、昨夜始めてお弁当のおつりで新1000円札を貰いました。帰り
のタクシー代を払おうとして始めて気付いたのです。それがどうってこと無いの
ですが、何でも始めてってのは嬉しいことです。ちょっともったいない感じもあ
ったのですが、他に小銭が無かったもので・・・。
 浅草の自動販売機にもようやく新札が使えるという表示が貼られました。これ
からは当たり前になるのでしょうね、来年になれば旧札の方が珍しくなっている
のかも知れませんよ。それと、どこの自動販売機も2千円札だけには未だ対処し
ていないようです。やっぱりあれは失敗だったのでしょうね。

今朝の写真
SONY DSC-F828
撮影枚数35枚