平成16年(2004)7月6日 火曜日
- 毎日のすれ違い -

 やさしいお巡りさんの写真を手配写真に使わせてもらったおかげで、横浜から
わざわざあほまろとモモちゃんを訪ねていらっしゃった若者?の方からメールを
頂きました。ありがとうございます。
 雷門から仲見世にかけて、通勤や通学で毎日すれ違う方がいます。だいたい同
じ時間の散歩なので、ほとんど同じ顔です。ちょっと遅くなって走るように歩い
ている人や、毎日モモちゃんを見て微笑むだけの人など、名前を聞く訳にはいか
ないので、あほまろは彼らの特徴からニックネームを付けているのですよ。
 それもなぜか総てが落語の住民なんです。「よたろう」、「いっぱち」、「大
家さん」、「後家さん」、「糊屋の婆さん」等々、時々可愛い子には飯島愛に似
ているから「愛ちゃん」とか、演歌歌手に似ている体型なので「はるみちゃん」
なんて呼んでいる人も中にはいますけどね。
 そんな感じで毎朝通勤する人達の観察をしていると、全く見かけなくなってし
まった人や、新しく時間を共有する友になる人、色々と変化も有るのです。
 このとろこ、毎日が寝苦しくって昨夜は何度も水飲みに起きたり、トイレに起
きたり。おかげで、寝不足気味。ベッドの中でダラダラ時を過ごしてしまい、モ
モちゃんとの散歩が8時を過ぎてしまいました。
 この時間になると、通勤の人達の顔ぶれもガラッと変わってしまいます。知り
合い(勝手に思っている)なんて一人も居ないのが普通なのですが、居ましたよ
、確かお祭りの頃まで毎朝モモちゃんに微笑みかけてくれていた、通称「笑みち
ゃん」、もちろん話したことは無いのですが、まるで、昔の友との再会のような
お互いに顔を見合わせて驚き。始めて「おはようございます」なんて声をかけて
しまいました。
 彼女は勤務先が変わって、40分ほど遅く出勤するようになってしまったので
、最近は全く逢わなくなってしまったのです。仕事場に出勤するという目的に向
かってただひたすら歩いている連中の意識の外でも、色々と周囲の観察を行って
いたのですね。ちょっと嬉しさを感じた出会いでした。
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 モモちゃんもいつも逢う犬達を探しながら歩いているのですが、すれ違う犬の
ほとんどが逢ったことの無い犬。お友達との出会いは必ず鼻でご挨拶するのです
が、知らない犬はチラッと顔を見るだけ。
 宝蔵門前で三匹の犬を連れているご婦人と始めて出会いました。家で5匹、そ
れもみんな捨て犬だそうです。二種類の可愛いチワワも何処かで余された犬のよ
うです。サラ金のコマーシャルに登場した昨年は異常人気だったチワワでしたが
、ブームが去ると余されて捨てられてしまうのですね。
 こうして拾って育ててくれる人が居るのは希で、そのほとんどが保健所に回収
されて殺されてしまうのです。愛犬家としては、無責任なコマーシャルでブーム
をあおって欲しくないですね。新しい飼い主にも慣れてきたチワワのつがい、モ
モちゃんにとっても興味を示していましたよ。
 そういえば昨年の今頃、夜の雰囲気の若い女性達がチワワにルイビトンの洋服
なんか着せて、集まってましたね。モモちゃんなんか側に寄ろうものなら、汚い
からあっちにいきな!なんて言われたこともありました。もしかしたら、あの犬
かもね・・・。
 また逢いましょうね。時々寝坊しての散歩にしまうからね。
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 破れ衣に破れ傘、これも誰ゆえ桜姫・・・・。
 今月の歌舞伎座は、通常ならば市川猿之助が率いる一門が活躍するのですが、
今年は猿之助休演のため、坂東玉三郎が蓙組の中心となり、その玉三郎の相手役
に市川段治郎が大抜擢されました。
 話題の市川段治郎、もちろん初役です。かつて孝玉(現・仁左衛門)と玉三郎
コンビで一世を風靡した『桜姫東文章』の権助桜姫に、玉三郎・段治郎というな
んとも風変わり(失礼)なコンビが誕生しましたよ。これは絶対見逃せない!
 てなわけで、昨日は歌舞伎座に鶴屋南北作「桜姫東文章」を観劇して来ました
。このお芝居、高貴な生まれのお姫さまが、実は稚児の生まれ変わりで、おまけ
に墓穴堀の男に恋をし、好きな男の言われるままに小塚原の女郎になるという、
なんとも奇想天外な物語なのです。
 こともあろうに、大名のお姫様が江戸で最悪最低の小塚原の女郎に身を落とし
、高貴な言葉使いと好いた男との契りで細い腕に彫られた鐘楼の彫り物が風鈴に
見えることから「風鈴お姫」と評判の売れっ子女郎。お姫さま言葉と女郎言葉の
入り交じった台詞の楽しさは最高ですね。
 舞台は向島から浅草ですが、このお話は南北が活躍していたころ、品川宿の女
郎屋に京都の日野中納言の娘と称する女郎がいて、江戸中の評判になったことを
ヒントに書かれたのでしょう。
 この大詰めの「三社祭の場」には、浅草を代表する雷門が登場します。当時の
雷門はどんな格好だったのかは知りませんが、お芝居では現在の雷門が造られ、
大提灯には「大入」の二文字。さすが歌舞伎興行の演出は楽しいですね。それに
時期はちょうど三社祭。雷門の両袖には「三社祭」と書かれた高張り提灯が飾ら
れております。
 可愛い我が子でも敵の子と赤子を刀でグサリ!また惚れて一緒になった亭主の
権太も討ち取る傍若無人な桜姫でしたが、目的を遂げた後にはもとの高貴な姫の
姿に戻って御家を再興する。まるで、現代のバラエティ番組でも観ているような
楽しいお笑いお芝居でしたよ。
 市川猿之助亡き後の市川段治郎にちょっと期待しても良さそうな俳優でした。
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 今日から入谷の鬼子母神で「あさがお祭」が開催されます。あほまろは毎年初
日に、入谷の鳶頭と根岸の友人達と一緒に風流するのですよ。明日の散歩に支障
の無い程度に遊んできますね。

今朝の写真
SONY DSC-F828
撮影枚数24枚
歌舞伎写真は筋書より引用