平成16年(2004)3月7日 日曜日
- 価値観 -

 浅草寺境内にソメイヨシノが有るのは、弁天山と本堂裏広場の一部に数本だけ
です。境内いっぱいに桜の花が咲いている戦前の絵はがきから比べると、ちょっ
と寂しいですね。これも昭和20年3月10日の東京大空襲によって総てが焼か
れてしまったからなのでしょう。
 弁天山の早咲きの桜が少しずつ開花を始めました。この桜は純粋なソメイヨシ
ノではないようですが、花の感じがソメイヨシノにそっくりなのです。毎年、開
花宣言より2週間以上も早く咲いてくれる珍しい桜の木でもあるのです。せめて
あの忌まわしい記念日3月10日に東京で亡くなった124711人の墓前に花
を添えるために咲いてくれるのでしょう。
 3月10日から、浅草公会堂でも戦争の恐ろしさを後世に伝える展示会が行わ
れます。しかし、終戦59年が経ったいま、当時の怖さを体験した人も少なくな
ってしまいました。浅草寺境内に東京大空襲の爪痕を今に残す大いちょうの焼け
こげた幹と共に、世界でただ一国、大量虐殺・集団殺害・集団殺戮を経験した日
本人として、これからの世代の方々と一緒に、未来永劫語り継がなければいけな
いのです。
 当時のアメリカ軍の戦略は、“いかにたくさん日本人を殺すか”、だったので
す。数種類の焼夷弾をどんな順序と配分ととりまぜ方でばらまけば有効かを研究
し、それを実際にやってみせたのでした。幾何学的に計算されつくした大量焼殺
工学ともいうべき「日本丸焼き作戦」は東京を手始めに、名古屋、大阪、神戸、
また東京と、繰り返しくりかえし行われたのです。当時の資料を読見返すたびに
不愉快な思いでいっぱいになるのです。
 考えてみれば、アフガニスタンやイラクの戦争においても、東京の殺戮と同様
のことを繰り返しているのです。どうしてそんな悲惨な戦争に日本も荷担しなけ
ればいけないのでしょうかね。
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 あほまろ夫婦は、時々近所の寿司屋さん「野八」で楽しい時間を過ごしていま
す。毎回カウンターに座る顔ぶれが一緒ってのも刺身を更に美味しくするサビな
のかも知れません。浅草という土地柄なのかこのお店は家族連れが多いのも特徴
なのです。まだ幼稚園にも行っていない子が、一丁前に板前さんに向かって注文
をするのですよ。生意気なようで、それがとっても微笑ましい光景にも見えるの
です。
 孫娘を連れてきた近所の旦那が言っていました。“孫ができると価値観が変わ
ってしまう”、また、“子供の歴史を思い出させてくれる”、孫の居ないあほま
ろ夫婦に向かってノロケにも似た自慢をするのですよ。確かに孫の価値観っての
の違いは理解できます。子供達が小さいころには、“我慢”という教育が美徳と
され、欲しい物は誕生日かクリスマス。そのような厳しい教育の最中であっても
、久しぶりに訪ねる実家からの帰りには、数年分の誕生日を過ごしてきたかのよ
うなおもちゃの山を抱えて帰ってくるのでした。自分の子供達にはそれ以上に厳
しい教育をしてきた親だったのに・・・。
 今朝、六区の映画館の前には大勢の子供達が列をなしています。今日から「ド
ラえもん」の新作が上映されるようです。ほとんどの子供達は親子連れのようで
すが、中には祖父や祖母と一緒の子供たちもちらほら。あほまろは普段アニメ映
画なんて観ることは無いし、子供達が小さい頃も一緒に映画館に行ったことすら
ありません。でも、もしも孫ができると価値観が変わってしまうのでしょうね、
あー、あほまろも孫が欲しいよ・・・。

今朝の写真
SONY DSC-F828
撮影枚数29枚