平成16年(2004)2月1日 日曜日
- 二月正月 -

 二月になり、もうすぐ立春ですね。でも暦とは裏腹にまだまだとっても寒い毎
日です。ただ、この寒さに負けずにますます元気に咲き誇っているのは、淡島堂
の梅たちだけ、でも早朝から淡島堂をお詣りする人達は、せっかく綺麗に咲き誇
っている梅たちには見向きもしないで通り過ぎていってしまうのです。せめて、
近づかなくてもよいので、ちょっとだけ目を向けてちょうだい・・・、そんな梅
たちの囁きが聞こえてきそう。でも、寒いんですもの・・・。
 今日は、NHKが六区より何かの中継を行うようです。早朝から沿道に電線を
這わせる作業をしております。また、お揃いの青いジャンバーの係員が大勢待機
しています。六区から中継を行うなんて、お正月以来の出来事ですね。いったい
何が行われるのでしょう。あとで行ってみようかな。
 今はほとんど使われなくなった“数え年”の勘定ですが、“数え年”では、正
月が明けて最初の朔日なのです。地方によっては、今年2度目のお正月として、
厄年の人に仮にひとつ歳をとらせる日でもあります。早く厄年をやり過ごそうと
の思いが、風習としてが広く行われていたのです。これを、「重ね正月」とか、
「一夜正月」、「二月正月」などと称して祝うのです。
 岩手県の「門松」は、正月には松、小正月(1月15日)には笹、今日の「二
月正月」には杉を立て祝う風習が今も残っています。また、熊本県でも、「太郎
の朔日」と呼び、山の太郎が河の太郎(河童)と交代する日との言い伝えから、
“河童は山に入ると山ノ神になり、河に降りてくると河太郎になる”そんな信仰
が残っています。
 これは春、山ノ神が里に降りてきて田の神になって稲作の様子を見守り、秋、
収穫が終わると山ノ神になって山上に帰るという「神去来」の信仰の変形だとも
いわれています。数年前、八代の田舎町でそんな行事に出会ったのを思い出しま
す。
 昨夜、落語芸術協会の会長、桂文治師匠が白血病による腎不全で、お亡くなり
になりました。
 あほまろが最後に文治師匠の高座を聞いたのは、たしか昨年の夏ころ。その時
もかなりやつれたお顔で心配しておりました。江戸っ子らしいすっきりとした語
り口と、とぼけた雰囲気で愛された師匠の得意演目は「親子酒」。文治流といわ
れる独特の歯切れの良い江戸弁の味わいで酔っぱらいの雰囲気を巧みに演出して
いた姿が瞼に浮かんできます。享年80歳、ご冥福をお祈り申し上げます。
 そんなこととは知らずに、昨夜は柳家さん喬師匠のファンの方々が主催する、
「さん喬を聴く会」に行ってきました。この会では毎回新作を披露するのが恒例
で、昨夜の演目は黒田絵美子作の「神様の贈り物」。長年長屋の連中から信仰さ
れてきたお地蔵さんとお不動さんのボヤキと、勝手なお願いをしていく長屋の連
中。お不動さんのひょんな遊び心から、飲んべえの八の体を操って長屋の安泰を
もたらす噺。
 慣れない新作を語るさん喬師匠、多少頭が混乱してしまったのか、長屋の熊さ
んと飲んべえの八さんを間違えたりなんてご愛敬もありましたが、無事まとめあ
げたようです。でも、物語の内容が今一つツメが甘く、事の進行あまりにも短絡
すぎで評価に困ってしまうような・・・。これは、さん喬落語とは言えないお芝
居だったようですね。
 それはそれ、自分でも出来の悪さを反省したのか、トリの「居残り佐平次」の
噺の熱の入れ方はいつも以上に丁寧だったのでした。

今朝の写真
SONY DSC-F828
撮影枚数36枚