2003年11月8日 土曜日


今朝の写真
SONY DSC-F707
撮影枚数32枚

一の酉

 お酉さまの今日は立冬です。暦の上で
は今日から冬になるのですが、意に反し
、とっても暑い朝になりました。予報で
は東京の日中は21度まで上がるとのこ
とです。冬になったといっても、今日一
日は半袖で過ごせそうですね。
 世に言う地球温暖化の影響なのでしょ
うか、いつものようにジャケット姿で歩
いていても汗が滲んでくるのです。気温
は上がるが景気は上がらない不景気真っ
最中、浅草から鷲神社に向かう道すがら
大きな熊手を抱えている人も年々減って
しまったようです。もはや日本の文化に
は、“苦しいときの神頼み”って言葉す
ら、信心する者も少なくなってしまった
ようです。
 バブル経済の時代は、お酉さまの日は
、朝から熊手を持った人の列が途切れな
かったのを想い出します。やっぱり、景
気が良い時は更に良くなって欲しいとい
うお礼参りのような願望が、欲求をわき
たたせるのでしょう。
 “酉の市”で有名なのが、浅草・千束
にある鷲(おおとり)神社ですが、神社
の愛称である“おとりさま”がいつしか
市の愛称にもなり、現在では“おとりさ
ま”といえば鷲神社の“酉の市”を指す
ほどになってしまいました。しかし、東
京には多くの“おとりさま”を祝う神社
も存在します。鷲(おおとり)神社と並
んで有名なのは、新宿の花園神社や目黒
の目黒神社なども賑わっています。最近
では、新興住宅が多くなってきた八王子
の市守神社や、東松山の松山神社なども
有名ですね。関東圏で、お酉さまを祝う
神社は100件余りといわれています。
いったいどの神社が、一番御利益を授か
ることができるのでしょう。どなたか試
してみませんか。
 この“お酉さま”は元々はお百姓さん
たちの収穫祭の意味から始まったお祭り
だったのですが、天保12年(1841
)老中水野忠邦の天保の改革で、江戸市
中にあった芝居小屋は風紀を乱すからと
猿若町という閉鎖された空間一カ所に集
められ遊郭のように閉じこめられてしま
った頃からなのです。当時の茶屋・料理
屋・芝居役者などの水商売の者や、遊郭
の者たちによって、開運・商売繁盛の神
として信仰され、農耕用の熊手に飾りを
施し、福をかき込むという意味に直され
て売り出されたそうです。
 浅草の酉の市のにぎわいの背景には、
このように、猿若町の芝居小屋や吉原の
花街のお陰で発展してきたのですが、今
ではそのどちらも無くなってしまい、熊
手の意味合いだけが残ってしまったので
す。
 三の酉のあるときは「火事が多い」と
言われております。この迷信は、お酉さ
まの参詣を口実に、亭主が吉原に寄るこ
とが多かった時代、留守をあずかる女性
としては、何とかして亭主を家に引きも
どさなければなりません。ましてや、月
に3回もお酉さまがあったのではたまっ
たものではありませんから、三の酉のあ
るときは「火事が多い」とか「吉原遊廓
に異変が起こる」という俗信を作って、
男性の足を引き止めようとしたのだろう
と考えられます。
 「お多福に熊手の客がひっかかり」
 「そのあした熊手のオカメしがみつき

 こんな川柳も残っているように、男た
ちは高い熊手を買って帰ったのでしょう
ね。
 一の酉・11月8日、二の酉・11月
20日。今年は二の酉で終わりですので
、火事の心配より、家事の心配でもして
ましょうかね。
 鷲(おおとり)神社のホームページは
こちらです。