2003年6月3日 火曜日

今朝の写真
病院から

有意義な時間

 昨日、娘がカメラ付き携帯電話でモモ
ちゃんの写真を送ってくれました。寂し
そうな表情で、何かを訴えているように
も見えますね。早く帰ってモモちゃんを
しっかり抱きしめてあげたい 。
 入院して一週間が過ぎました。今日も
こらから検査なので、朝食は抜きらしい
のです。病室から一歩も外に出ることも
できずに病院で暮らしていると、唯一の
楽しみは3度の食事。それまでも奪って
しまうのって、あんまりじゃありません
かね。つい、そんなぼやきも出てしまい
ますよ。
 昨日は娘がDVDの映画を沢山買って
きてくれました。今では映画もパソコン
で見る時代になったんですね。以前から
再生機能が有ることは知っていましたが
、実際にパソコンなんかで観なくても、
テレビに接続している専用の再生機で間
に合ってたんですからね。
 昨年話題になった映画、“竜馬の妻と
その婦人とその夫と愛人”なにやら意味
ありげなタイトルですが、坂本竜馬を崇
拝する連中が繰り広げる、なんともおか
しく複雑に入り組んだ関係のようですが
、実は至って単純な物語なのです。
 竜馬を愛した女を愛した男と、竜馬を
愛した男が、竜馬を愛した女が愛した男
を巡って繰り広げる三谷幸喜の描いた幕
末の動乱から13年後のハチャメチャな
世界。坂本竜馬ファンは怒るかもしれま
せんが、さもすれば当時の英雄伝を塗り
替えてしまうかもしれない結末。不思議
と評価ができるB級作品でした。
 もう一本は巨匠、市川崑監督が無き妻
、脚本家の和田夏十に捧げた名作“かあ
ちゃん”。現代の世相を思わせるような
、不景気で失業者が増え、矢継ぎ早に暗
い事件が起こった天保末期。貧乏でも5
人の子供を素直に育ててきた、理想のか
あさん。落語の貧乏長屋そのまんまの世
界で繰り広げられる人間ドラマでした。
 さすが巨匠だけあって、ズームレンズ
を使わないセピア調のカーラーの中に舞
台劇をそのまんま映画にしてしまったよ
うな見事な演出。物語が単純なだけに、
当たり前に展開される江戸庶民の生活の
一つ一つが、今の時代には失われてしま
った家族のあり方と、他人との接し方を
教えられたような、そんな心温まる映画
でした。
 立て続けに三本の映画を真剣に観てし
まったのです。普段持てなかったこんな
時間。こうなったら家に溜まっているま
だ観ていない映画を全部観てしまいたく
なってしまいました。そういえば、新藤
兼人監督全集なんて5枚組のDVDもま
だ観ないで置いてあったなぁ。特に代表
作の“裸の島”では、豊な暮らし、楽し
い暮らし、自由な暮らし。そんな美辞を
剥ぎ取ってしまって、“暮らす”とは、
日々を生きること。ただ黙々と、虚飾を
廃した営みの力強さが誰も語らなかった
真の人間の生き様を見せつけてくれたよ
うな・・・ 。
 聴覚欠如の夫婦が、黙々と畑に水をや
る光景や子供に対する愛情などの描写を
思い出してみると、自由にしゃべること
が可能な普通の夫婦より、彼らの暗黙の
会話が、より人間性豊かにも感じてくる
のです。
 毎朝のモモちゃんとの会話も、心が通
じ合っているのかも知れませんね。