2002年8月2日 金曜日       

今朝の写真
SONY DSC-F707
撮影枚数28枚

風物詩

 縁側に花ゴザを敷き、お盆の上の井戸で冷やし
たすいかを食べる。種は庭先にぺっぺと吐きだし
、その種に蟻たちが群がってくる。時折、激しく
泣き叫ぶ蝉の声にかき消されながらも、南部鉄で
造られた風鈴が涼しげな金属音で涼しさを演出し
てくれる。真黒に日焼けした丸坊主のガキどもが
水鉄砲なんかを持って庭を走りまわる。そんな夏
の風物詩が、あほまろご幼少の頃だった。当然、
水鉄砲を持って、女の子を追いかけて庭を走りま
わってるのが、あほまろだったんだよ。    
 今や縁側が存在する家も消え、スイカは冷蔵庫
でギンギンに冷やした物が売られ、部屋の中はク
ーラーでガンガンに冷えている。せっかくほおず
き市で貰った風鈴の音も、都会の喧噪に打ち消さ
れ、動いてはいるが音など聞こえやしない。映画
の世界では昼夜を自由にコントロール出来るよう
に、文明は四季をも自由に操作できるようになっ
てしまった。これじゃ、世の中の風物詩も変わっ
て当然だね。      
 ”朝顔に釣瓶とられて貰ひ水”、江戸時代中期
の女流俳人・加賀千代女のあまりにも有名な句。
朝、井戸に水を汲みにいくと、その釣瓶に朝顔の
かずらが巻きついている。むしりとるのは忍びな
いので隣りの井戸に水をもらいにいった。そんな
女性らしい句なのだ。            
  ”あさがほをみにしのゝめの人通り”と詠ん
だのは、浅草が生んだ久保田万太郎。そんな入谷
の朝顔市は御存知の通り、今も盛んだ。朝顔市が
終わった翌日からは浅草寺のほおづき市。朝顔も
ほおづきも、高くてもこの時に買い求めるのが風
物詩なのだろうね。実際この時期の朝顔もほおづ
きは、普通の鉢植えで2500円と絶対に高い。
それを値切るのも楽しみの一つなのだろうが、会
場をちょっと離れた花屋さんの店頭には、市で売
られている物より豪華な鉢が2000円で売られ
ていたりもする。しかし、風物詩。これは市の会
場で品定めをしながら買わなければ、今年の夏が
始まらないのだよ。あの日から半月ちょっと経っ
た。花屋さんでは、朝顔は800円。ほおづきは
500円に値を変えて売られている。いくら安く
なっても、江戸っ子はきっと買わないね。   
 観音堂裏では薪能の舞台造り。表通りではサン
バの提灯付け。これからが夏本番だね。