雨が降ったり止んだり、激しく降ったり治まっ
たり、嫌な朝になってしまった。こんな朝はモモ
ちゃんも外に出るのを拒むのだが、あほまろだっ
て出かけたく無いんだよ。おまけに今朝は、女房
と喧嘩してムカついてるんだ。そんな嫌な朝でも
関係なく雷門前には、台湾からの観光客が大勢詰
めかけている。せっかく観光に来たのだから、天
候がどうであろうと、精力的にスケジュールをこ
なさなければ意味が無いんだろうね。あほまろだ
ったら旅行で雨に降られたら、ホテルで寝てるん
だろうな。　　　　　　　　
　通い袋を持って、傘をさして、モモちゃんを曳
いて、カメラを持って窮屈そうに写真を写してい
ると、台湾からの観光客の女性が二人、使い捨て
カメラ二台を差し、写真を撮ってくれとのジェス
チャー。何もこんな状況に有る人に頼まなくても
、他に居るじゃないか。っていっても、中国語で
何か言ってるが理解出来きない。断るタイミング
を逃してしまった。しかたがない、こうなったら
撮ってやるか。一台のカメラは通い袋の中に入れ
て、まずは”ハイポーズ！”。その瞬間、また訳
の判らない言葉で待ったがかかった。しゃがんで
提灯を入れたアングルで撮れというのだ。見てみ
なさい、こんな格好でそんなアングル出来る訳な
いだろ。今度は、はっきり日本語で断る。すると
そのお返しの言葉が、”バカ！”だって。頭にく
るねこのガキが！思いっきり”バカ野郎！”って
怒鳴りつけてやりたかったぜ。カメラを返し仲見
世方向に歩き出すと、まだ追いかけてくる。”な
んだ？”通い袋を指さして訳の判らない言葉で怒
鳴っている。そうか、もう一台カメラが有ったっ
け。嫌な天気に追い打ちをかけるような、気分の
悪い出来事だった。　　　　　　　　　　　　　
　仲見世の朝は襲い。今朝もまだ数軒のお店が開
店の準備をしているだけ。その中で、通路に大き
くはみ出してネクタイをぶら下げているお店があ
る。今朝、そのお店の前で、些細な事故を目撃し
た。この時期の仲見世には、雨を凌げるよに屋根
が付いているのが、強い雨は横から吹き込んで来
て結構濡れる。そんな状況を避け、あほまろは中
央を歩くようにしている。向かいから通勤で、急
ぐ女性。すれ違い際、傘の端でその商店のネクタ
イを引っかけて落としてしまった。中からそこの
主人が出てきて、”駄目じゃないか！屋根が有る
んだから傘なんて要らないだろ！”。娘さん、恐
縮して何度も何度も謝っている。それを良いこと
に、弱い立場の娘さんを偉そうに責め立てるのだ
った。”本来なら弁償して貰うんだよ！・・・”
等々。どっち悪いかというと、はみ出して展示し
てるのが悪いに決まっている。雨が降ってる時に
は傘をさす。その傘に当たらないように展示台を
引っ込めるってのが商売の本筋じゃないか。怒鳴
っているそこの主人、側で様子を見ているあほま
ろの顔と、娘さんの顔を交互に睨んでいる。よっ
ぽど娘さんに加担してやろうかとも思ったが、朝
っぱらから気分の悪い事の連続なので、つまらん
人間と喧嘩なんてしたくないぜ。自分勝手で、世
間知らずのこのお店。これが本当の”殿様商売”
ってやつなんだろうな。仲見世は、座ってるだけ
で、観光客が何か買ってくれんだもんね。