2002年3月10日 日曜日       

今朝の写真 
CANON EOS-D30
CANON ZOOM 24-85 F3.5-4.5
撮影枚数23枚

春ですよ!
 日増しに暖かくなって、今朝の雷門通りでは、
地面から陽炎にも似た霞が漂っている。体感的に
は極端に暖かい訳ではないが、自然界の法則では
急に暖まってきたことを現すのだろう。そんな春
の証にひたることもない人達は、新聞から目を離
すこともなく、ただひたすら場外馬券場に急いで
いるのだった。     
 毎週雷門通りで出会うオジサンがモモちゃんに
声をかけてきた。話をするのは始めてだったが、
このオジサンは毎週日曜日の朝モモちゃんに声を
かけてくれる。東京に居る時は、日曜日の競馬が
唯一の楽しみらしい。青森から季節労働者として
東京にやってきて10年以上になるのだとか。田
舎では家族で野菜農家をしているそうで、春にな
ると、白菜や大根と言った冬野菜にとうが立ち初
め花が咲き始めるらしい。その頃、故郷に帰ると
いう。一緒に歩きながらオジサンは、自分の息子
の事を自慢げに語る。息子は今20歳で、農家を
手伝いながら建設会社に務めている。オジサンの
自慢は、彼が小学校の時の作文コンクールで、青
森県より金賞を貰ったことだ。、”父さんは、だ
いこんの花”という内容。毎年秋になると出稼ぎ
に出ていく父、正月も僕の誕生日も帰ってきてく
れない父、そんな父が帰ってくるのは、決まって
大根の薄紫の花が咲く頃・・・・・。
 そんな作文らしい。お父さんをだいこんの花に
例えて、せつない想いを綴った作文。まるで芝居
の台詞のように暗記していた。あほまろが桜の花
を楽しみに待つように、オジサンの郷里では息子
達がだいこんの花が咲くのを、首を長くして待っ
ているんだろうなぁ。          
 そんなあほまろの桜の標本木の芽は、昨日
より一回り大きくなった。触った感触では、マシ
ュマロのように柔らかく今にも破裂しそうな勢い
だ。                    
 今日は東京大空襲から57年目の記念日だ。被
害が大きかった下町地区のあちこちで、記念イベ
ントが行われている。東京大空襲の記録を後世に
伝えようと、「東京が燃えた日」などの著作で知
られる作家早乙女勝元さんらが建設を進めてきた
「東京大空襲・戦災資料センター」が江東区に完
成した。早乙女さんは「このセンターの資料に触
れて、戦争の原因やプロセスをきちんと学んでほ
しい」と訴える。また、浅草公会堂でも、今日ま
で「東京大空襲資料展」が開催されている。戦争
の悲惨さを訴えれるのは平和な日本の象徴でもあ
るが、他方では未だ戦火が絶えない国々も存在し
ている。そんな国では、季節を楽しむ余裕など無
いだろう。しかし、どんな状況下でも季節の花だ
けは、バカな人間をあざ笑うかのように、咲き誇
っているのだろうな。            
 ところで、童謡「春の小川」が渋谷が発祥地っ
てこと知ってますか?先日、代々木八幡区民会館
附近の小田急線の踏切附近で、目立たなくひっそ
りと歌詞が刻まれた石碑を発見した。今となって
は、小川どころか雑草も生えない場所なのだ。石
碑の後ろを小田急線がゴーゴー通過していく姿に
、昔の面影なんてみじんも感じない。時代が移り
変わり、都会では、歌詞のイメージを連想するこ
とはできなくなってしまったが、広い日本の農村
部には、まだ綺麗な自然が保たれているのだろう
が、いつまで保てるのだろうね。なんとなく、だ
いこんの花が咲き乱れる風景って見てみたいな。
”♪春になれば〜、しがこも熔けて〜、どじょっ
こだ〜の、ふなっこだ〜の、夜があけたとおもう
べな〜!”。季節は必ず繰り返されるが、戦争は
繰り返しちゃいけない。世界中の人々が、季節で
無い春を待ち望んでいるんだよ。